24日の記事で「ホトトギスに関係する民話の多くとその聞きなしには暗い陰がある」と書いたが、ホトトギスの名誉のためにそうでもない民話を書いておく。
和歌山県ではこの鳥の鳴き声を「ホンゾンコウタカ」と聞くらしい。
その訳は、ホトトギスと百舌鳥は古い友人で、ある時ホトトギスは百舌鳥にお金を預けて「ご本尊を求めてくれ」と頼んだが、百舌鳥は頼まれたご本尊を買わずにそのお金で酒を飲んでしまった。それでホトトギスは今も初夏になると「本尊買うたか、本尊買うたか」と高い声で鳴き、百舌鳥は面目次第もないので、初夏になると鳴きもせずどこかに隠れてしまう。百舌鳥が赤い顔をしているのはその時飲んだ酒のせいだという。(本尊=仏像、宝塔、掛軸などか?)
ホトトギスの「聞きなし」と、百舌鳥の鳴く季節、百舌鳥の顔を読み込んだ「よく出来た民話」だと思う。
少し似たものは滋賀県にあり、お寺の本堂を建てるためにホトトギスは和尚さんにお金を貸したがちっとも返してもらえず、そのためお寺のそばの林で「ホンドウタテタカ、本堂建てたか」と鳴いているのだという。(何れも国松俊英著「鳥のことわざウォッチング」)
どちらも、金銭的には可哀相だが「暗い陰」というほどの話ではない。どちらかというと小さな被害者であろう。
ホトトギス(不如帰)で思い出したが子どもの頃お祭りや縁日には『のぞきからくり』が出ていた。
私は「トラコーマがうつるから見たらあかん」と言われていたので、少し離れたところから一寸だけ見ただけだったが、その口上は今も耳に残っている。
You Tubeでは『のぞきからくり(佐賀)一銭大学』の口上のリズムやメロディーが一番私の記憶と一致する。
口上だけだと以下に掲載の映画『長屋紳士録』の笠智衆が文字どおり『不如帰』を語っている。「ホトトギス」絡みの雑学として知っておいて損はない。笠智衆には脱帽だ。
からくりは遠くに去りて不如帰
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