2017年5月22日月曜日

安倍晋三は保守ではない

 4月9日に「本当の保守主義」という記事で、自身を保守主義者だと名乗っておられる中島岳志氏が「保守本流は安倍政権を批判すべき」「本当の保守主義を貫くと共産党と共鳴する」と発言されていることを紹介したが、毎日新聞5月21日6:30配信の【<陛下>退位議論に「ショック」 宮内庁幹部「生き方否定」】の記事は、まさしくその指摘の妥当性を証明している。記事の内容は次のとおりである。

 《天皇陛下の退位を巡る政府の有識者会議で、昨年11月のヒアリングの際に保守系の専門家から「天皇は祈っているだけでよい」などの意見が出たことに、陛下が「ヒアリングで批判をされたことがショックだった」との強い不満を漏らされていたことが明らかになった。陛下の考えは宮内庁側の関係者を通じて首相官邸に伝えられた。
 陛下は、有識者会議の議論が一代限りで退位を実現する方向で進んでいたことについて「一代限りでは自分のわがままと思われるのでよくない。制度化でなければならない」と語り、制度化を実現するよう求めた。「自分の意志が曲げられるとは思っていなかった」とも話していて、政府方針に不満を示したという。
 宮内庁関係者は「陛下はやるせない気持ちになっていた。陛下のやってこられた活動を知らないのか」と話す。
 ヒアリングでは、安倍晋三首相の意向を反映して対象に選ばれた平川祐弘東京大名誉教授や渡部昇一上智大名誉教授(故人)ら保守系の専門家が、「天皇家は続くことと祈ることに意味がある。それ以上を天皇の役割と考えるのはいかがなものか」などと発言。被災地訪問などの公務を縮小して負担を軽減し、宮中祭祀(さいし)だけを続ければ退位する必要はないとの主張を展開した。陛下と個人的にも親しい関係者は「陛下に対して失礼だ」と話す。
 陛下の公務は、象徴天皇制を続けていくために不可欠な国民の理解と共感を得るため、皇后さまとともに試行錯誤しながら「全身全霊」(昨年8月のおことば)で作り上げたものだ。保守系の主張は陛下の公務を不可欠ではないと位置づけた。陛下の生き方を「全否定する内容」(宮内庁幹部)だったため、陛下は強い不満を感じたとみられる。
 宮内庁幹部は陛下の不満を当然だとしたうえで、「陛下は抽象的に祈っているのではない。一人一人の国民と向き合っていることが、国民の安寧と平穏を祈ることの血肉となっている。この作業がなければ空虚な祈りでしかない」と説明する。
 陛下が、昨年8月に退位の意向がにじむおことばを表明したのは、憲法に規定された象徴天皇の意味を深く考え抜いた結果だ。被災地訪問など日々の公務と祈りによって、国民の理解と共感を新たにし続けなければ、天皇であり続けることはできないという強い思いがある。【遠山和宏】
 引用おわり。

 憲法第4条が、天皇は、この憲法の定める国事行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。・・と定めているから、問答無用で天皇の「考え」に沿って立法化すべきだとは決して思わないが、昨年8月の「おことば」を一国民として素直に聞けば、象徴天皇としての深い洞察と人間味に私は理解と同情を禁じえなかった。

 さて、政府が設置した「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」であるが、該当の発言をした「有識者」がその種の主張を繰り返していたことは任命前から周知の事実であった。
 つまり、安倍首相はその種の発言を期待して任命していたのである。
 安倍首相の思想的バックボーンは日本会議である。その日本会議の主張は「象徴天皇制」の継続ではなく帝国憲法の復元である。
 
 真面目な保守主義者こそ、戦前回帰を企む日本会議安倍政権を批判すべきではないだろうか。

1 件のコメント:

  1. 和道おっさんのブログが素晴らしい。
    安倍晋三や日本会議ほど天皇を軽んじて馬鹿にしている者たちはいないのではないか。
    http://wadou.seesaa.net/article/450118700.html

    返信削除