2014年3月16日日曜日

ことり(アクセントは_| ̄|_)

 山椒大夫のことや
南蛮人による日本人奴隷貿易の
ことを書くつもりでないし、
拉致問題を論じるものでもない。
  この狭い列島の中で、当然意思が通じ合えると思っていた事柄(ことば)が結構通じ合わないということに驚いたという他愛ない話を書く。
 そんなことは「秘密のケンミンSHOWを観ていれば当たり前だ」ということかも知れないが・・・・・。

 先日、何人かでビールを飲みながらの与太話のようなものから「小さい頃は、夕方遅くまで遊んでいると『ことりが来るぞ』と言われたもんや」「そやそや」ということになったところ、その場の多数が「ことりて何?」と聞いてきたので驚いた。(アクセントは_| ̄|_と、が低くが高い)
 えっ、「ことりにさらわれてサーカスに売られる」というのは全国共通の常識ではなかったの??
 (サーカスの皆さんごめんなさい。その時代(私の小さい頃)のリアルな描写とご理解ください。)
 早い話が「ことり=子取り」とは「人さらい」のことである。
 それが、近畿以外の方はもちろん、丹波の方2人も「知らない」ということだった。
 話が通じたのは小学校を堺で過ごした私、八尾で過ごした友人、吹田で過ごした妻(これは家に帰ってから確かめた)だった。
 後日、その話を思い出して家にある広辞苑や国語辞典、古語辞典を開いてみたが載っていない。
 これには、私の方が「ええっ!」となって、近くの図書館に自転車をこいだ。
 あたってみた辞書は、小学館日本国語大辞典、広辞苑、大辞林、大辞泉、字訓、三省堂国語辞典、旺文社国語辞典、新明解国語辞典、小学館古語大辞典、古語大鑑、日本方言辞典、日本俗語大辞典、日常語の意味変化辞典。で、どの辞書にも全くない。これには「ええっ!」「ええっ!」。
 最後に、念のため牧村史陽編「大阪ことば事典」をめくってみると、ここにはしっかり書いてあったのでホッとした。
 コトリ【子取り】(名)子供を誘拐する男。〔例〕晩遅うまでかどで遊んでると子取りが来るで。
 標準語だとばっかり信じていたが大阪弁だったらしい。
 がしかし、よく考えると私は自分の子供たちにこんなことを言った覚えはないから、現在の大阪周辺の人々もええっ!となるかも知れない絶滅危惧大阪弁だろうか。
 ということで、こんなブログであっても、この時代に文字にしておくことは全く意味がないことでもなかろうと思って書いてみたのだが、それなら、この言葉の発信源はどこだろう。
 親の時代までの大阪中に伝播させた(現に大阪ことば事典には採取されているのだから)のは、当時の学校教育や子取りの遊び? JOBK(NHK大阪放送局)? 寄席? ・・・解らない。こんなつまらないことでも考えてみれば不思議なことばかりだ。
 今大阪では、子取りまがいに大阪市民の財産をさらっていこうとしている男が大きな顔をしている。これも不思議だ。

 「夕方遅くまで遊んでるとことりが来るぞ!」・・・・この言葉を知っている方、そんな言葉は知らない方、子供時代の地域とその年代を添えてコメントをいただければ幸いです。

12 件のコメント:

  1.  「ことり」は知りませんが「サーカスに売られる」は何か聞いたような気がします。(大阪に住んでいたせいか?)四国特有の子供を怖がらせる言葉がありました。昭和30年代までと思います。「親の言う事を聞かん子はへんろ(遍路)に連れて行ってもらう。」当時、遍路=物もらいの様に思われていたせいです。今になって分ったことですが、遍路の人は高貴で信念のある立派な人です。

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  2.  なるほど、遍路ですか。判ります。

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  3. 子供のころ、住吉に住んでいたので、よく住吉大社の祭り(正月や夏祭り)に夜店が出ており、遊びに連れて行ってもらっていました。そのとき、見世物小屋が出ており、首の長い人、体の小さい人など、結構今では問題になりそうな人が多くいて、悪いことをすると「ことり」にあい、見世物小屋に連れて行かれるぞと脅しを受けたものです。大阪の言葉とは知りませんでした。また、情報お願いします。光くん。
    なるぞ

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  4.  光くん、了解しました。どちらかが少しアレンジされていますが、ほゞ同じ文化でしょう。
     私も、親の躾という面からみると堺というよりも大阪市内の文化です。

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  5.  私は使ったような記憶はないが息子は知っていた。もしかしたら奈良県北西部は子供どおしでも「ことり」と使っていたのかも?

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  6. 小さい時に「子取りが来るぞ」って近所のおばちゃんにいわれたことあります。東南アジア(かって日本軍が侵略した地域)では「ことり」でなくて「日本軍が攫うよ」というと聞いたことを思いだしました。

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  7. yukuriさん、その「小さい時」の地域は・・・どの辺りにおられたのですか?

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    1. 「小さい時」の地域は敗戦後のちょうど今NHKで放映されている「ごちそうさん」の時と場所です。

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    2.  yukuriさん、終戦後の大阪市内、了解です。

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  8. 阪神間、神戸でも「ことり」は大人からよく聞かされて知っています。「日暮れになるとコトリが来るで」と言われて本当に怖い思いをさせられました。幼少の時は素直で正直な私でした。実際、当時は土(ツチ)道で道も狭いし、車もめったに走ってません、信号も街灯も無く世間全体が暗く静かで、犬の散歩やジョギングなんて皆無でした。夕暮れになると人通も無くこの言葉は効果満点であったと思います。

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  9.  スノウさん、レポートありがとうございます。ほんとうに同感です。
     阪神間、神戸も「ことり文化圏」だとしたら、問題は播州ですね。

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  10.  やっぱり、絶滅危惧大阪弁だった。娘が帰って来た時に話してみると、「ことり??なにそれ」と返ってきた。嗚呼!
     

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