2014年3月2日日曜日

真田の抜け穴(橋下徹氏の6億円選挙ごっこ2)

  万城目学の小説「プリンセス・トヨトミ」の大阪国総理大臣は「空堀ど~り商店街」の真田幸一だが、『真田』が総理大臣という設定はさすがは万城目学だというか的を射ている。
 子供のころ、貸本屋の「真田十勇士」は人気本だったし、その頃の大人は講談の「難波戦記」が好きだった。400年前の大坂冬の陣、夏の陣の話である。
 幸村の作った出城「真田丸」は今も「真田山」として地名に残っているし、大阪市内を掘れば織豊期の石垣などが顔を表す。ちょっと隧道みたいな跡もあったりする。空堀通り周辺にもそんな場所がいくつかある。

  そうした場合、新聞などはすぐに「真田の抜け穴か?」と見出しを振る。
 大坂城の地下に通じる秘密の通路だと。
 万城目学の小説もそれを踏まえている。
 その一つが天王寺区は真田山近くの三光神社境内にある『真田の抜け穴』で、私にはどう見ても行き止まりのように見えるが、それも信じる人には「敵を欺く偽装」なのだろう。
 歴史というと京都や奈良の専売特許のように思われるが、古代史の首都や副都であったり、それこそ石山本願寺の寺内町、豊臣の大坂城等々と大阪は重厚な町である。
 にもかかわらず、そういう積み重ねられた歴史や文化が軽視され、銭勘定だけの下卑た街のように思われているようで仕方がない。

  残念ながら、「金の儲からない文化は意味がない」という橋下市政の下で文化の衰退はさらに激しい。
 だが、少なくとも終戦までの大阪商人は決してエコノミックアニマルではなかったし、事実、江戸・東京ではお上が作ってきた多くの公共設備も、ここでは市民の寄付で造られてきたことはあまりに有名だ。
 大阪人が野卑で打算的だというのはテレビと花登筺と吉本が作り上げたステロタイプの虚構である。
 ・・・・ということを大阪人は実証する必要がある。
 「大阪人よ大義に生きよ」と、「信濃一国」との徳川の懐柔を拒否をした(難波戦記)幸村のうめき声が抜け穴の奥から聞こえてきそうである。

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