2014年3月20日木曜日

神域にモノレール


  奈良県知事は、若草山にモノレールを建設する理由は「素晴らしい眺望をお年寄りや障害者の方を含め、誰でも楽しめるようにしたい」と説明し、新聞各紙も「バリアフリーか景観か」と見出しをつけたりしていた。
 これに対して、奈良県障害者の生活と権利を守る連絡会会長は、「障害者の利益か歴史的・文化的価値かというように対立的に議論をしないでほしい」、「障害者だって奈良の文化や景観を守ってほしいと思っている」、「若草山に登りたいという高齢者や障害者には、移動支援、同行援護、外出介助の制度を手厚くすることだ」と主張されている。的を射ている。

 そういう指摘も含めた運動の結果、奈良県は議会において、「今後は本来の目的である若草山の賑わいづくりの手法や効果について(モノレールの可否も含め)じっくり慎重に議論していきたい」との主旨で答えるように変わってきた
 あれれれれれ・・・・、そうであるなら、奈良県は本来の目的であった観光政策のために、社会一般に反対しづらい「障害者のためのバリアフリー」という言葉を利用し弄んできたことになると私は思う。
 まるで生駒山の西の方の市長のような、そういうことは党派や立場を超えて、人としてしてはならないことではないだろうか。

 世界遺産春日山のコアゾーンから数百メーターの場所にモノレールを建設するなどという非常識を撤回し、奈良の観光策を考えるのなら何の異論もない。
 私見だが、二月堂・手向山八幡宮の南、若草山北の地点までは電気自動車のバスを春日大社から延長する方が良いと、これは小さい孫を連れての実感だ。
 若草山一重目まで登りたいお年寄り等には金毘羅さんのように駕籠が良い。
 何よりも土産物店が集まって、B級グルメでもよいから美味しい食べ物を開発するがよい。
 二月堂、手向山八幡宮、春日大社で御朱印のようなスタンプが貰えるようにするのも一案か。
 その気になったら多くの人々がアイデアを出すだろう。
 奈良はホンモノで勝負すべきである。

 そも若草山は、古墳時代中期(5世紀)以前にその頂上に鶯塚古墳を戴いていた。(現存している。)
 標高300メートルを超える地の古墳としては最大級で、彼の清少納言も「みささぎは うぐひすのみささぎ」(枕草子)と称えている。
 養老元年(717)、遣唐使は神祇を御蓋山の南で祭った(続日本紀)。つまり周辺は神域であった。
 故に仲麻呂は「天の原・・・御蓋の山にいでし月かも・・」と涙したのだ。
 承和8年(841)、春日山は狩猟と伐採が禁じられ今日に至っている。
 その地(春日山の北隣)にモノレールというのである。
 私はあえて言いたい。「罰当たりめが!」

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