少し上の世代というのは小説でいえば「青い山脈」的で、映画では「日活青春映画」の吉永小百合だし、下の世代は文字どおり団塊の世代の本隊そのもので、この世代のことを論じている著作物は山ほどある。
そのような私などが十代後半だった街にはあちこちに戦後の匂いが残っており、同時に、高度成長初期の高揚感が漂っていた。
今のテレビの中のように幼いことを可愛いとか肯定的に考える余地はなく、可愛いなどという言葉は青年にとって侮蔑の言葉だったし、みんな「もう自分は子供ではないぞ」という主張が当たり前で、背伸びするのが当たり前だった。
そんな高校生が食べたホルモン焼きは、屋台を少し大きくしただけのカウンターにコンロが並ぶ店で、そんな店に勇気を持って入った自分達が誇らしかった。
ホルモン焼きは「放るもん」と言われていた。
これが私の心の中にある焼肉の原風景である。
さて、近鉄鶴橋駅は個性のある駅である。
夕方以降、ホームの東の方から西の方を見ると霧にかすんでいるように見える。それはすべてホームの下に広がる焼肉店の焼肉の煙である。もちろん、ニンニクがダメな人は卒倒しそうな・・、好きな人はお腹が鳴るような匂いを伴っている。
そして、ここのホームの北の壁に大きな徳山物産の看板があるのだが、1950年代60年代を知っている年齢層には国を超えて「わかるわかる」という、そんな50年代60年代のいわく言い難い郷愁を思い起こさせる写真(映画の写真?)である。
この大看板、天野祐吉さんがご存命なら「CM天気図」あたりに取り上げてもらいたいような名作だと思う。(写真上でクリックすれば拡大されます。)
先日その鶴橋で、「放るもん」ではない「宮廷料理の焼肉」を何人かで囲んだ。
ネットから |
そこで、まあお子様ランチ風のお皿の一種かと見過ごしていたのだが、実はそのお皿の牛の顎の位置にはアゴの、心臓には心臓、足にはアキレス腱というように盛られているのが判って、そのアイデアの的確さに感心した。丁寧に、肉の下には部位の(肉の)名前も書いてあった。一頭盛りのネーミングに大納得。
ただ昔青年は、宮廷料理の美味しい焼肉や、2月にも拘らず氷の入った本場の冷麺を食べながらも、あの「放るもん焼き」が懐かしかった。
この記事を書いているうちに、どうしても徳山物産の看板の写真が欲しくなって、そのためだけに鶴橋まで行ってきた。
私も「鶴橋のガード下」には懐かしい楽しい思い出があります。その当時、宿舎は近鉄奈良線富雄駅で夜間の大学に行っていましたので、鶴橋は乗り換え駅で、ガード下は時間的にも場所的にも経費的にも絶好の条件下にありました。
返信削除注文品は「濁酒と豚足」がほとんどでした。店のおばちゃんが「あんたは若いのにうちみたいな店にようきてくれる。きっと大者になるよ。」と見え透いたお世辞を言われたのを覚えています。
もう一度行ってみたいと思い、世界陸上があった時息子を連れて、「鶴橋のガード下」に行きましたが、昔とは変わりすぎて思い出の場所は分りませんでした。
「鶴橋のガード下」は、懐かしい良い想い出だけにしまっておきます。今日は35回目の結婚記念日です。
Happy 35th Wedding Anniversary おばちゃんが言ったとおり、貴男は大物です。
返信削除マッコリもメジャーになりました。隔世の感があります。
焼肉店に限って言えば、店の数は増えていると思いますが、全体に小奇麗になっています。客観的に見ればそれは当然ですが、昔青年はちょっと寂しい気がします。
私も参戦!鶴橋の思いではホルモンもさることながら鶴橋公設市場での買い物です。一つ先の玉造で男3人で暮らしていた頃、市場によく買い物に行きました。大きなワタリガニや新鮮なナマコなどが安く手に入ったものでした。それから、バラやん、実は私んところも結婚記念日です、32回目の。お互いにおめでとう!
返信削除Happy 32th Wedding Anniversary
返信削除ちょっと参戦! 私、本籍地の市役所に「戸籍謄本の結婚の日時が違う。」と抗議しましたところ、「結婚式の日は関係ありまへん。」と軽くあしらわれました。考えれば当たり前ですね。
今日は美しい花を買って帰りました。何か非常に恥ずかしかったけれど、嫁さんが一言「ありがとう」と言ってくれました。天に昇る気持ちがしました。ひげ親父さんと同じ結婚記念日と分り、今日の私のコメントは最高でした。芋焼酎が特に旨い日になりました。
返信削除放るもんと一頭盛りの記事が、どうしてこんな綺麗なコメント交流になるのですか?????
返信削除本当ですね、バラやんご夫婦にあやかって来年の記念日には花を!う~来年の話にしときます。
返信削除奇跡的なことですが、昨日長男夫婦から「3月4日結婚記念日お目でとうございます。一日遅れですが」の嬉しいメールがありました。親としては「私たちの結婚記念日なぞ知っている筈がない。お金でも困っているのかな?。」と思いきや「パソコンに記憶さして忘れんようにしました。」とのことでした。それでもとても嬉しい気持ちになりました。
返信削除素晴らしくいい話です。親も素晴らしい。子も素晴らしい。
返信削除で・・・・、私はと言うと、娘の誕生日を忘れていました。ああ。