2022年3月21日月曜日

噤んだらあかん

   冬鳥のツグミの名前の由来の一つに、「春になって、冬の間あんなに鳴いていたツグミの声がしなくなったのは、きっと口を噤んだからだろう」と推定して「口を噤む鳥=ツグミ」となったという説がある。

 この説は非常に示唆に富んでいる。人間はけっこう狭い社会内の情報を信じて、さらに広い情報や理屈を想像するのは難しいもののようである。

 冬鳥であるツグミが北へ帰るのはしようがないが、留鳥ならぬ人間が、「私一人ぐらい語らなくても」「それは誰かがもう言っているから」と語ったり書いたりしないと、「メジャーな情報に批判するコメントはないんだ、少ないんだ」となってしまうのが怖い現実だ。いいね!をポチッも良いけれど、もう少し普通の紳士淑女が書いたり語ったりした方が良いように思う。

 17日の木曜日にプロパガンダのことを書いたが、テレビを観ていると、ロシアでのプーチン支持派の大集会が映っていた。それはトランプ支持派の集会と同じく、大いに盛り上がっている様子だった。印象的には、北朝鮮の動員された演技風のものよりも、信じて熱狂している風だった。情報操作、情報統制というものはある意味外形的強制よりも怖いかもしれない。その果て、信じて人を殺すことだろうと想像した。

 先日、谷口真由美氏のジェンダーに関わる講演を聞いたが、医大の入学試験で男に下駄をはかせた(女を不当に落とした)事件について、先生のチームは事前に掴んでいたと言う話を聞いた。つまり、各種の有名模擬試験の結果の男女比と実際の合格率は当然に似ているにもかかわらず、医大(医学部)についてだけは不自然に相違していたということだった。

 眼光紙背に徹すという言葉があるが、目前の現象だけでなく紙背を想像、解明する眼の大切さを考えさせられた。
 維新の大阪府政はコロナでの人口比死亡率が跳びぬけて高い。病床使用率もそうである。ところが在阪テレビ局は頻繁に知事を登場させ、やっているふりを応援した。医大入試の女性差別同様、これはおかしいというべきジャーナリズムが見えない。そのうちにテレビ電波の届く他府県では「大阪の知事はよくやっているのにうちの府県は・・」と維新政治の待望論まで生んでいる。

 一種のプロパガンダである。怖ろしいことだ。

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