2022年3月10日木曜日

気候戦争という斎藤幸平氏

   『気候戦争としてウクライナ侵略を読み解く』という斎藤幸平氏のAERAオンラインの限定記事が「一読すべし」と友人から送信されてきた。これまで考えの及ばなかった視点だと思うので、参考のため骨子を紹介するが、正確には次のアドレスで全文を読んでいただきたい。以下は時間がなかったので殴り書きのようなものである。

https://dot.asahi.com/aera/2022030800057.html

■ ロシアによるウクライナ侵攻をめぐって様々な原因がメディアで取りざたされているが、気候変動に絡む事情が日本のメディアでは見落とされている。
 ロシア帝国再建という帝国的野望やましてや錯乱した独裁者の暴走とみなすのは不適切だ。
 愚かな帝国主義的侵略であると同時に「気候戦争」としての側面がある。
 欧米や中国は、自分たちが独自に制定する基準のもとで、他国の規格外の賞品を排除しつつ「環境に優しい」自国の新商品を他国に売りつけようと争っている。それが脱化石燃料による経済成長を目指す「緑の資本主義」の中核をなす(この新たなルール作りの蚊帳の外に日本がいるせいで、日本の政治もメディアも関心が極めて低い)。
 今後、化石燃料の需要は伸び悩み、リチウムが「21世紀の石油」となる。当然、そうした転換は、これまでの化石燃料の輸出で金もうけをし、諸外国への影響を保持してきた国にとっては大きな損失となる。
 ロシア経済は、化石燃料の上に成り立っているから、そうなれば致命的なダメージを被る。それは、オリガルヒと呼ばれる新興財閥の超富裕層たちに支えられたプーチン自身の権力体制に対する」死刑宣告になるだろう。
 気温が上がればロシアは恩恵を被るとの楽観的予測は一面的である。国土の65%を永久凍土が占めるため、地盤沈下によってビル、道路、空港、パイプラインにすでに大きなダメージが出ており、凍土の中に閉じ込められていたウイルスの拡散、山火事、洪水、そして干ばつによる小麦の生産量減少も生まれている。
 要するに、ロシアも気候危機への対応を迫られている。しかし化石燃料を手放すと経済が落ちる。脱炭素を遅らせればロシアそのものが瓦解する。ここに深刻なジレンマがある。
 中国は脱炭素化の技術力を身につけたが、ロシアにはその力はない。とすれば、原発に向かう道しかない。
 先に述べた干ばつを考えると、ロシアにとってウクライナ産の穀物が重要になる。
 さらにウクライナは、半導体に必要な、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、などの主要産出国であり、「東欧のシリコンバレー」と呼ばれるほど科学技術の水準が高い。
 食糧、資源、IT、・・・アメリカや中国も含め、これからの世界の火種は気候危機のもとでの覇権争いになる。そういう視点でロシアのウクライナ侵略を見ることが大切だ。

2 件のコメント:

  1.  ケンタさん、送信ありがとうございました。説得力を感じます。

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  2. 早速取り上げていただきありがとうございました。

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