2022年3月22日火曜日

提起された

   昨日の記事で谷口真由美氏の人権に関する講演を聞いたことを書いたが、その中で、巷間よく言われる「自分がされて嫌なことは(他)人にしたらいかん」というフレーズは不十分で好くないという問題提起があったが、私には提起された真意が解らなかった。

 それは実際の小学校の先生の児童に対する教育内容であったらしいから、私などは解りやすい例えのように思えた。

 谷口氏の回答は「自分が嫌と思うかどうかには相当な差があるが、人権を尊重しなければならないというのはある種の理論であって情緒の問題ではない」というものだった。これは非常に納得のいく答えに思えた。

 ジェンダーでいえば、多様な性の問題はとりあえず横に置いておいて、相対的に優位な位置にあった男性が「これぐらいの話は気にすることがないやろ」「私ならそれぐらいのことは嫌ではないし」と女性に言ったとしても、それで問題がないと認定されることはないということで、情に訴えて教えようとする小学校の先生の努力は多としつつも、大切な観点が欠落しているということだった。

 もうリタイアした身であるから、今ごろ気がついても遅いが、職業生活の折々には多くの人権研修も受けてきたが、いろんな局面で的確に対処できていたとはいえなかったなあと反省したところだ。

 というように、男女平等は情緒の問題ではなく理論である。
 よって、努力目標だとか方針だとか四の五の言わず、客観的事実で話を進める。

 まず、世界経済フォーラムが毎年発表しているジェンダーギャップ指数では日本は156か国中120位でG7中では断トツの最下位だ。特に政治分野では147位であるから、その原因が政治にあることは明らかだ。

 では次に、政府の男女共同参画基本計画で各政党は国政選挙の候補者の女性の比率を当面35%と決めていたが、2021年衆議院選挙の各党の候補者中の女性の比率は次のとおりだ。
自民9.8%  公明7.5%  維新14.6%  国民29.6%  立民18.3%  N国33.3%  れいわ23.8%  社民60%  共産35.4%
 政府計画をクリアしたのは社民と共産のみ。

 誰もがこういう事実を冷静に見つめてこなかったから、現実の日本の後進性を産んだのだろう。

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