2022年3月5日土曜日

実録「コロナ戦争」前半

   国の政治でも、企業の経営でも、労働運動でも、もちろんアカデミックな研究でも、「調査なくして方針なし」は大原則だ。私は若い頃、法政大学田沼肇教授からそう教えられたし、そういう姿勢を大事にしてきた。

だから2020年新年、新型コロナ肺炎が報じられ始めた頃、政府が「PCR検査(つまり調査)は拡大しない」と言ったときには信じられなかったし、さらには「医療崩壊を防ぐため37.5度以上の熱が4日以上続かない限り受診するな」という方針が報じられ、テレビや新聞がそれへ右へならえをしてキャンペーンを始めたときには耳を疑った。

 なので、それまであまり見なかったテレビの情報番組(ワイドショー)を見てみると、それに輪をかけたようなコメンテーターや司会者の「解説」が溢れる中で、テレビ朝日の「モーニングショー」に元国立感染症研究所・現白鴎大学の岡田晴恵教授が政権に近い何人かの権威ある先生方の名前を出して「お願いですから方針を変えてください」と本気で訴えられているのを目にして注目しだした。

 その後「コロナはインフルエンザのようなもの」とか「ヒトからヒトには感染しない」とかいろんな妄言が飛び交う中で、著名人の死亡などが報じられると、今度は「専門家会議」の重要なメンバーである日本医師会釜萢副会長がテレビで「われわれは37.5度以上の熱が4日も続けば必ず受診するように言ってきたが、それがそれまでは受診しないようにと誤解して報道された」と言い放った。若い娘ではないが私は「ウッソー!」と叫びたかった。

 冒頭の「調査なくして方針なし」には反するが、私は釜萢副会長という人は信用ならぬ人、そして岡田晴恵という人の言には変な忖度がなさそうだと私は確信した。

 その後は週刊誌や、その意向を大いに反映したいわゆるネトウヨによって、ネット社会で岡田教授の誹謗中傷が目につくようになり、それを反面教師として私は岡田教授の主張に注目して今日まで来た。

 では、そのように見えた局面局面で、どういう人々がどういう風に動いたのか。そのようになった構造的な問題はどこにあるのか。『秘闘ー—私の「コロナ戦争」全記録』新潮社で著者は専門家や政治家をビシビシ実名で評している。この本は、感染症に注目する人も、政治の未来に注目する人も、必ず購入して座右に置いておかれるべき本だと思う。

 まだ購入されておられない方は書店または通信販売にアタックされたい。

 いっぱい紹介したい内容があるが、紹介し始めると本になってしまいそうなので内容紹介はしない。読んだうえで一人ひとりが考えるべき課題だろう。

3 件のコメント:

  1.  興味深く読みました。面白いです。睡眠不足に要注意。是非お読みください。

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  2. (FBにコメント)
    一気によみました。岡田先生にサイエンスでちゃんと伝え続けてほしいです。
    モーニングショーは何してるのだ!

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  3.  今井さんコメントありがとうございます。
     プロ野球の結果は解っているのに翌日の新聞が楽しいように、この本は楽しい。

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