2022年3月24日木曜日

抑止力論

   戦争が始まったら「ウクライナは核兵器を持っていなかったから攻められたんだ」とアメリカとの核兵器の共有を言い出した日本の人がいる。
 東電の電力需給が逼迫したら「原発再稼働」を言い出した人がいる。前述の人と相当重複する。
 そういう人を一般に火事場泥棒と言うが、冷静な議論ができない人でもある。

 議論ということでいえば、ウクライナとロシアの外交がどうであったのかは、終戦後大いに検討すればいい。ただ、現に侵略戦争が行なわれている真っ只中に「核のない外交は無力だ」とかなんとか、そもそも多角的に検討しなければならない課題を物知り顔で単純「明解」に言い切る人間は信用しない方がよい。

 目の前で起こっていることは、ロシア軍はウクライナ国内でウクライナ市民を殺しており、ウクライナはロシア国内に侵入していないしロシア市民を殺していないという厳然たる事実である。この一点でもプーチンは非難されなければならない。ロシアは即時撤退し砲撃を止めよ。

 核抑止力論でいえばその論理が成立するためには、当事者がチキンレースに打ち勝つ狂人である必要がある。
 「地球を破滅させるほどの決断はしないだろう」と考えられる理性的な人物(国家)が見かけのチキンレースを仕掛けてもほんとうには誰も怖がらない。
 「ほんとうに使うかもしれない」と思われる狂人がその言葉を発したときのみ、その発言は抑止力になる。そんな危うい抑止力論は冷静に考えて是認できないのは当たり前である。

 軍事力で平和を実現しようという思想は典型的には中世の思想である。それでは生産的でないと知恵を絞り、近代の世界大戦を経て今があるのだが、核兵器禁止条約に核保有国が躊躇しているようにまだまだ不十分な段階にある。
 だから、中世に戻ろうというのか、本気で核兵器禁止条約を成立させ、軍事同盟の解消を目指すのかは、明らかだろう。

 正直に言うと、あの軍事大国ロシアがこれほど苦戦するとは、特殊な専門家を除いては誰も思っていなかったのではないだろうか。
 日本はウクライナに非軍事的な支援をするとともに、世界中にプーチンは止めよとの声を広げ、経済制裁を徹底することが大切だろう。

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