鳥獣戯画は香雪美術館の明恵上人展で観たような観なかったような記憶があるが、鳥獣戯画のピンバッチを持っているから、きっと一部については展示されていたのだろう。それよりも、五味文彦著『絵巻で読む中世』の記憶の方が濃かった。
そして今般、上野憲示監修『鳥獣戯画の世界』宝島社新書というのを手に取ったところ、図表が多くかつ奇麗なので、いささか手指の負傷で気分が落ち込んでいたこともこれあり、あまり深刻な内容でもないから楽しく読んだ。中世は陰陽道=道教の世界だから、月にいる兎と蛙がよく登場するのだろうかなどと全く勝手な空想を膨らませながら。
この本の終章では5つの謎について答えを提起している。
① いつ描かれたのか。『鳥獣戯画』甲乙丙丁の4巻はそれぞれ、いつ描かれたのか。
② 誰が描いたのか。『鳥獣戯画』最大の謎というべき、作者は誰かという問題である。
③ 何のために描かれたのか。『鳥獣戯画』は、そもそもどんな意図で製作されたのか。
④ 何が描かれているのか。『鳥獣戯画』に描かれている動物たちは、一体何を意味しているのか。そこに物語はあるのか。
⑤ 断簡・模本は何を意味しているのか。『鳥獣戯画』の失われた絵である「断簡」、在りし頃の姿を描いた「模本」からどんな真実がわかるだろうか。
答えは本を読まれたい。面白い。私はけっこう納得した。
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