2015年5月15日金曜日

凡庸の怖さ

1 大阪市を廃止して5つの特別区に分解する住民投票の論争が深まるとともに、橋下・維新の主張の支離滅裂ぶりが明らかになってきている。
 当初は「二重行政の無駄を省き住民サービスを引き上げます」だったのが、その「4000億円の効果額」が全くのハッタリで、逆に赤字になることが広まると「住民サービスは引き下げません」にトーンダウンした。
 さらに「5つの特別区の税収は大阪市の4分の1になり4627億円が府に取り上げられる」ことが広がると、とあるスーパーの前で維新の市会議員は、「心配しないでください。何も変わりません。今までどおりです」と演説。
 通りかかったおっちゃんが「何も変わらへんのやったら余計なことすんなや」・・・・・・こういうのを正論というのだろう。

2 それで橋下のテレビCMは、文字に起こしたら何もないイメージに終始。
 といっても、CMといい、チラシといい、宣伝のプロが関与しているのだろう、中身がなくても人を引き付ける催眠商法のノリは十分にある。
 そのことに関連して下記の動画で藤井京大教授は、アイヒマン裁判を考察したハンナ・アーレントの「全体主義の起源」を援用しつつ、市民が空気とノリとイメージで動くとき、それは必ず破滅に向かうと警鐘を乱打。
 現代社会の様々な局面で顔をのぞかせる「思考停止」、その「凡庸という悪魔」の恐ろしさを語っている。
 私の中にいるアイヒマンにも怖ろしくなった。
  氏の著作「凡庸という悪魔」、近所の書店に注文を行った。



2 件のコメント:

  1. 「京都大学教授・内閣参与藤井聡さんは
    「私は『大阪都』構想の内容について学術的に話すことは学者全般の責任だと思っています。とりわけ直接民主制に基づく住民投票の直前において、賛成・反対は別にして学者が自らの所見を自由に論じることは絶対に必要だと確信しています。
     私は今年の1月27日に自分のメールマガジンで「知ってほしい7つの事実」(下記)を配信しました。これは「特別区設置協定書」とその補足資料に基づき、事実だけを淡々と書いたもの。
     特別区は半人前の自治体です。なぜか。特別区を除く市町村(基礎自治体)には固定資産税や法人住民税など税金が入り、それを使う固有の権利があります。
     これに対して東京の都区制度は、特別区からのそれらの税金を都に”特別に吸い上げる仕組み“特別区にいくら戻ってくるかは都の条例で決まります。この仕組みを大阪に導入するのが「大阪都」構想です。
     大阪市民は自分たちの「財布」から年間約2,200億円を失い、未来永劫、自由に使えなくなるのです。これは損でしょうか、得でしょうか。
     大阪市民特別区の人口比は東京都は7割ですが、大阪府ではたった3割。これは事実です。東京都で7割の人の意見が通る確率と、大阪で3割の人の意見が通る確率とどちらが高いでしょう。
     吸い上げた税金の使い方を決める府議会その運用を想像してみてください。吸い上げた税金を3割の特別区民のためだけに使うことになるでしょうか。2,200億円の使い道は7割の府民の意向に左右され、結果として大阪市民が受けてきた行政サービスは低下するでしょう。お金だけでなく都市計画の権限も府にとられます。『7つに事実』を明らかにした直後から私に対する言論封殺の攻撃が始まりました。」といっています。橋下市長は京都大学長に対してやテレビ出演への圧力があったそうです。しかし「私は言論人として、どんな圧力をかけられたとしても発言を続けます。」「自由な言論の場こそ大阪と日本の未来を開くものであり、言論封殺こそがその未来そのものを封殺するのです」と述べておられます。


    藤井教授がメールマガジンで配信した
    「都」構想の「知ってほしい7つの事実」

    〚事実1〛住民投票で賛成多数でも「大阪都」にはならず「大阪府」のまま
    〚事実2〛「都」構想とは大阪市を廃止して、5つの特別区に分割する「大阪市5分割構想」
    〚事実3〛大阪市民は、年間2,200億円分の「財源」と「権限」を失う
    〚事実4〛2,200億円が様々に流用され、大阪市民へのサービスが低下する恐れ
    〚事実5〛特別区の人口比は東京7割、大阪3割だから、大阪では東京のような「大都市行政」は困難
    〚事実6〛東京23区には、「特別区はダメ、市にしてほしい」という大阪と逆の議論がある
    〚事実7〛東京の繁栄は「都区制度」のおかげではなく「一極集中」の賜物」という文とお手紙を作って知り合いに配り対話をしました。

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  2.  yukuriさん、コメントありがとうございます。藤井教授の指摘内容を手紙にして配られた由、感心しています。民主主義の基本中の基本は一人ひとりの市民が自分で考え自分の言葉で意見を発信することだと思います。
     住民投票最終盤を迎えて、都構想推進論の嘘と内容のなさが明らかになりつつあります。
     しかし、内容のない「何か改革してくれそう」とのプロパガンダは効果を発揮しています。
     理性ある人々が冷静に主張を拡散することが何よりも大切でしょう。

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