2026年3月11日水曜日

林太郎は泣いている

    森鷗外(森林太郎)はいうまでもなく文学界で有名だが、公職では大正6年に陸軍軍医総監、陸軍医務局長という要職を退き、東京・京都・奈良の帝室博物館と正倉院を統括する帝室博物館総長に任じられ、大正11年に61歳で亡くなるまでその職にあり、今日に通じる博物館学の基礎を築いた。
 奈良国立博物館は現代でも毎年の正倉院展で有名だが、その元は正倉院曝涼(虫干し)で、鷗外は毎年秋には奈良に出張して暮らしていた。鷗外滞在中の官舎は現博物館の東北隅にあり今はその門が残っている。鷗外が東京の子どもたちに送った手紙には手書きの地図があり、「パパの居るところ」と注記がある。

    さて文化庁は国立博物館・美術館に対し、4年後の時点で入場料などの「稼ぎ」が費用の4割未満なら「再編」の対象にする。5年後までに65%以上、10年後には100%「稼げ」と「中期目標」に明記した。
 収蔵している資料類を廃棄してスリムにし、一部の図書館のように民営化せよというのだろうか。博物館資料が危機に面している。

    薄っぺらな議論では、保守というのは伝統を大事にし、一方革新というのはそうでもないという大誤解があるが、銭勘定のためには伝統も歴史も投げ捨てて儲けの対象にしようとするのが自民党らの姿勢である。奈良の歴史や文化でいえば、それの保存などに一番積極的なのが日本共産党であるから、事実は小説よりも・・である。
 自民党絶対多数の国会ではあるが、「博物館を守れ」の世論を大きくしていきたい。

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