2026年3月8日日曜日

口を噤む前

    『ツグミは春になると北へ渡ってしまうので、昔の人は「あの鳥の声が聞こえなくなったなあ」「きっと口を噤(つぐ)んでしまったのだろう」と思った』と、ツグミという名前の由来を2020年の2月に書いたが、そのツグミという名前の由来については、少し疑問が未解決のままだった。
 その1,北へ帰る冬鳥、つまり春に声を聞かなくなった鳥はいっぱい居るのに、どうしてその中で「口を噤んだ鳥」の代表にツグミがなったのだろう。
 その2,とびっきり美声とも言えない「ケッ ケッ」という声なのにどうして代表になったのだろう‥ということだった。
 確かに人家の近くに来ることは来る、声は小さくはない、それにしても・・・

 先日、歩いていると、少し高い木から聞いたことのない声がした。
 文字にし難いが、ピヨピヨとか、ヒーヒーとか、クチュクチュクチュとか、なんというか、女の子がおしゃべりをしているような声がした。もしかして百の舌を持つという百舌鳥(もず)?
 葉っぱの多い木なので声の正体は特定できないが、飛んでくる様、飛んでいく様は、ツグミの集団だった。・・・で、ふと気がついた。

 春先、農家の庭先で農作業が始まる頃、ツグミのこんな声を聞きながらみんな作業をしていたんだ。頭の上というか、木の上で、女の子たちが楽しくおしゃべりしているような声を楽しく聞きながら作業をしていたのが、あるとき(春が深まり)、フッと声がしなくなったのだ。
 ジャジャジャと鳴いていた鶯(ウグイス)が囀りの練習を始めるように、ツグミも3月になるときっと囀り(そのものは知らないが)の練習を始め、昔の人は楽しくそれを聞いていたのだ。

 これは全て個人の感想だ。しかし、バードウォッチング歴も古いが、ツグミのこんな声を知ったのは初めてで、私的には長年の謎が解けた気分がした。

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