あるとき、そう言って勧めた女性が小さい鯛の唇を食べて「普通の味ですね」と返ってきたが、それをいっちゃあ食は文化でもなんでもなくなる。
同じく、「鯛の鯛」がきれいにとれようが二つに折れようが味に関係はないが、これもお皿にきれいな「鯛の鯛」を飾って初めて食の文化となる。そして「わあ折れてしまった」と笑うのもまた文化である。
何年かにいっぺんは初詣に伏見稲荷に行くが、もちろんスズメの焼き鳥(丸焼き)を食べて初詣は完結する。
「スズメを食べて今年も豊作」などと正月早々笑うからこれも食の文化。文化などどうでもよければフライドチキンでよい。
このように笑うからこそ美味いというもののひとつに『紅しょうがの天ぷら』がある。
いつも退職者会の世話人会が終わると居酒屋に寄るのだが、枝豆、冷やっこ、そして紅しょうがの天ぷらが先ず並ぶ。
中でも紅しょうがの天ぷらは「どうだ」と言わんばかりに存在感があり、「こんなもん誰が考えついたんやろか」と半分馬鹿にしながら皆で笑い合って取り合う。
ちなみに、昭和15年織田作之助の夫婦善哉には紅しょうがの天ぷらが登場しているから、昨日今日のグルメ情報など比べようもない。
先日夫婦で買い物に行ったとき「久しぶりに買おうか」と言って紅しょうがの天ぷらを買って帰った。
妻は「懐かしい」と言い、大いに笑って食べたので何十円かの値段以上の値うちがあった。(写真はネット上にあったもの)
素うどんに紅しょうがの天ぷらを入れるだけで旨いうどんになります。私はこれが大好きでスーパーで見かけると必ず買って帰りますが塩分制限をしている身にはたくさん食べることはできません。夫婦善哉の柳吉のように嫁はんの監視のもと食べています。だから余計に美味しい!
返信削除愉快なコメントありがとうございます。立派な?天麩羅うどんですね。
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