2020年9月12日土曜日

歌は世につれ

 いつでも半分居眠りをしながらテレビを見流しているような身であるから、決して「メディア評論家」の足下どころか足の爪先にも及ばないが、先日ちょっと良かったNHK BSの番組が二つあったので書いてみる。

 ひとつは、中島みゆき名曲集で、出演は中島みゆき、大竹しのぶ、華原朋美、クミコ、研ナオコ、坂本冬美、中島美嘉、中村中、満島ひかり、という豪華なものだった。

 知っている人には何ということもない話題かも知れないが、クミコが歌った『世情』(作詞作曲中島みゆき)の詞などには驚いた。(知らない方は検索してみて)〽シュプレヒコールの波 通り過ぎていく 変わらない夢を流れに求めて ・・ 何これ?
 
 近頃はカーラジオから菅田将暉の『糸』がよく流れてくるが、これも結構心に響いた。で、妻に歌ってもらって聞き直した。・・笑うなかれ!


   もうひとつは、『時代に翻弄された歌 イムジン河』で、フォークル、販売中止、キムヨンジャ、韓国、北朝鮮・・・、今では北朝鮮、韓国、日本で歌われるようになった歴史の重い重い重み。

 さて、蓮池薫氏の著書『半島へふたたび』に要旨次のようにある。
 「僕はイムジン河をピョンヤンで聴いたことがある。思いも寄らないことだった。
 キムヨンジャさんが北朝鮮のイベントに招待され、ピョンヤンで公演を行ったときこの歌を(日本語の詞を交えて)歌ったのだ。その様子がテレビで北朝鮮全土に放送され、おかげで僕もその懐かしい歌を聴くことができた。実に前代未聞の出来事だった。
 だけど、僕の涙腺を刺激したのは、北朝鮮の人たちがこの歌に抱くような「祖国統一への切ない思い」ではなかった。
 北朝鮮に拉致されて20年近く、「祖国」という2文字を心から消し去り、ひたすら子どものために生きてきたつもりだった。だけど、心のどこかでは、望郷の念、日本に帰りたいという気持ちを消しきれずにいたようだ。
 いまだ帰国を果たせずにいる拉致被害者の人たちも「イムジン河」の歌を聞いたなら、強い望郷の念にかられるに違いない。
 どうか早く彼らの背中に帰国への自由な翼をつけてあげてほしい。
 僕は日本政府に対し、こう願わずにはいられなかった。」

 ああ、思えばこんな波乱万丈の歌が外にあっただろうか。
 テレビでは、最後の方で当時朝鮮総連の幹部だった方が松山猛氏にビデオメールを送ったのもよかった。でも、こんな氷解にこれほど時間が必要だったのだろうか。加藤和彦、はしだのりひこにこの番組を見せたかった。

2 件のコメント:

  1. 「中島みゆき」は見逃しましたが「時代に翻弄された、、、」は見ました。録画もして見返しています。ご存知でしょうが「イムジン河」の作詞家、松山猛氏は映画「パッチギ」のモデルといわれています。松山氏の「少年Mのイムジン河」を原案に井筒監督が「パッチギ」を撮ったといわれています。本当に、はしださんに見せたかったと思いました。
     それと「世情」もいいですが、「紅の豚」の挿入歌、「時には昔の話を」(作詞・作曲:加藤登紀子)もいいですよ。

    返信削除
  2.  ひげ親父さんコメントありがとうございます。ただ、私としては9月10日の「大阪市の廃止反対する」を力を込めて書きました。補足して9月11日の「都について」を書きました。川根さんから頂いたコメントのとおり結構大事な運動方針に関わる問題提起のつもりです。私としてはここにコメントの上でフェイスブックのシェアを期待しているところです。

    返信削除