2019年11月24日日曜日

シルクロードがやってきた

 先日来、正倉院展のことや中華思想や漆胡樽に関わって西域・シルクロードのことを少し書いたが、不思議なもので、そういう時には次々とシルクロードの方から私にやって来るのだった。
   というほど大袈裟なものではないが、ふと覗いた古書店で『東方見聞録』の新訳というのを見つけた。
 あれだけユーラシア大陸のあちこちを大旅行したマルコ・ポーロであったが、残念ながら日本列島には来なかった。故に「黄金の国チパング」は大都(現在の北京)あたりでの伝聞に寄っている。

 それでも、西欧人に初めて日本という国の存在を知らしめたのがこの本で、有名なバラ色の黄金と真珠の豊かな国、そして超大国元を追い返した国と紹介されている。「礼儀正しい優雅な偶像教徒」とも記されている。

 そこまではよく知られている(私も知っていた)。
 しかし、その後には仏教・仏像のことが触れられていて、「チパング島に住む偶像教徒は、・・牡牛、豚、犬、羊、その他の動物の頭をした偶像がある。ある偶像には顔が四つある。ある偶像には頭が三つあり、一つは当たり前の位置に、あとの二つは両肩についている。また腕が四本の偶像もあれば、十本、あるいは千本の手を持つ偶像もある」というキリスト教徒の率直な驚きが綴られている。
 伝聞にしては「当たらずと雖も遠からず」と言ったところだろうか。もしかして十二神将や千手観音???みんな故郷は中国なのに。

 しかししかし、「チパング諸島に住む偶像教徒は、自分たちの仲間でない人間を捕虜にすると、その男が身代金を払えない場合には、友人や親戚を残らず招待して、「うちでいっしょに会食をしましょう」という。そうしてかの捕虜を殺して、料理をし、みんな寄り合って食べる――彼らはいろいろな肉のなかで人間の肉ほどうまいものはないと考えている」とはどういう伝聞だったのだろう。
 誰かのほら話だったのか、他地域の首狩り族の話が紛れ込んだのか。
 こんな記述があったのを私は知らなかった。

 一般に、「マルコ・ポーロの東方見聞録によって、西欧には黄金の国チパングという(肯定的)イメージが定着した」と言われているのはほんとうなのだろうか。
 「黄金とカニバリズムの国」との誤解は広まらなかったのだろうか。
 そんな「実は・・」的な誤解もあって(乗っかって)現代の捕鯨に関する反発もあるのだろうか?知らんけど。
 原典(といっても新訳だが)を読むと驚くことも多い。

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