25日(日曜日)の朝日新聞書評欄に「平和の俳句」の紹介があった。
午前中には所要があったので午後一番に「置いてありそうな書店」に行くと、「昨日入荷してここに2冊あったのですが・・」ということで、出張販売に持って行ったようだった。
なのでいつもの書店に行き、俳句等のコーナーに行くとやっぱりなかったが、念のため検索してもらうと何処からか(きっと新刊コーナーから)持ってきてくれた。
この本は、2015年1月1日から12月31日まで、東京新聞、中日新聞、北陸中日新聞、日刊県民福井の朝刊1面に毎日1句掲載された「平和の俳句」をまとめたものだ。
撰者は、金子兜太氏といとうせいこう氏。
昨日の記事で「有季定型」のことを書いたが(昨日の原稿は24日に書いたもの)、ここには季語のないものも花鳥諷詠でないものも多い。
兜太氏は言う。「季語は世界的な自然の現象とは言えないが、平和というのは世界的な言葉だ」と。
紹介したい句が多過ぎるが、私の胸に特に響いた五句を紹介し、この本の推薦記事としたい。
「平和の俳句」(小学館1,000円+税)、秋の夜長に一読をお勧めする。
シベリアの捕虜六年で貝になる 柏マサ枝 茨城県笠間市
命令に従っただけ春寒し 加賀川治作 福井県鯖江市
父はただ穴を掘ったとしか言わぬ 青砥和子 愛知県瀬戸市
真夜中に悲鳴を上げる父がいた 小林礼子 千葉県柏市
デモの誘い真面目に読む日が来るなんて 金井柚季奈 東京都板橋区
1句目、「私は貝になりたい」という名ドラマがあった。昭和33年、小学生の私にも戦争の不条理は理解できた。
2句目、現代社会に増幅して伝わってないか。人生の有限を感じる年頃になって、この言葉は吐きたくないと思うが、そんな生易しいものでもなかった。
3句目、加害の証言をする人あり。その勇気こそ称えられるべき。
4句目、フラッシュバックだ。残酷なことだ。ヒロシマの大先輩もそうだった。
5句目、同感だ。同時にそこには展望が見えている。
金子兜太氏の選んだ五句とも、いとうせいこう氏が選んだ五句とも避けたつもりはないが、一句も重ならなかった。
ご一読の上で、あなたの選んだ数句をコメントいただけると嬉しい。
返信削除