2016年1月10日日曜日

GDPの大いなる勘違い つづき

 昨日の記事で日本の一人当たりのGDPは先進国中最低ラインと書いたが、その「貧しさ」を少なくない日本人は理解しておらず、「我々は恵まれているんだ」と誤解していないだろうか。
 こんなことをいうのは、私自身がこの「最低ライン」という事実を知らずに、なんとなくトップクラスの経済大国の国民だと思っていたからである。
 そういう、「日本は経済大国だ」という誤解ゆえに、総じて政治の無策や不正を甘く許してこなかっただろうか。
 トリクルダウンは、先日竹中平蔵氏が「ありえない」と発言をしたが(この間までそのように言ってきた張本人であるのに)、一方で、言葉ではトリクルダウンを批判していた者の中にも、心の底では「大企業の収益増が必須要件で、シャンパンタワーとまではいかなくとも、いくらかは滴り落ちてくると、どこかで思っていなかっただろうか。
 どこかで、今は少々停滞しているが、日本は驚異的な経済成長を実現した経済大国で、そのうちに再び回復するだろうと根拠もなく信じていないだろうか。
 そういう「信仰」を支えてきたのは書籍を含むメディアなどだろうが、いわゆる一億総中流という状況もそれを肯定させるものだったと私は思う。
 それが今、労働の場では非正規雇用が半数近くになり、社会保障では自己責任論が取り上げられ、中流の下流化、労働人口減、高齢者増、各種インフラの更新期・・・を迎えている。
 「君たち日本人は素晴らしい」だとか「今はどん底でも必ず良くなる」という言葉は耳触りがいい。
 人はそうあって欲しい言葉を信じようとして、根拠もなく信じてしまうものなのだ。
 消費者の購買力が上がっていないのに株価は高いという、こんなことが何時までも続くはずがないとは誰もが思っている。
 それでも、超高学歴の専門家がその渦中にいるのだからまさか破綻まではいかないだろうと信じたい・・が、「信じる」になっていないか。
 リーマンショックやサブプライムローンのときも、こんなバブルが果てしなく続くはずはないと誰もが考えながら、それでも「専門家がそんな破綻を許すだろうか」・・「破綻はしないだろう」と自分自身を信じさせたのだと思う。
 無知は犯罪にも似る。冷静に経済を直視しないと、やっぱり「想定外の事態だった」と説明されるという状況に落ち込んでから泣きを見る。
 想定できることを想定しないというのも反知性主義の一側面といわれている。
 国民一人当たりのGDPは先進国中最低ラインという事実を直視して考えをすすめたいと反省している。

3 件のコメント:

  1.  長谷やんのブログを読ませていただき、GDP(国内総生産・実質)についてパソコンで調べてみました。2015年10月13日のIMF統計の発表では、日本は27位。また、2016年1月5日の国連の発表では、35位となっています。順位だけでは全てを評価出来ませんが、日本はもはや、経済大国と胸を張る時代ではなくなっています。非正規雇用を増やし続けてきた、日本政府・厚生労働省の責任は重大だと思います。

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  2.  バラやんのデータは「実質」ではなく「名目」ですね。おっしゃるとおりです
     

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  3.  ご教示のとおり確認したら名目でした。一つ賢くなりました。有難うございました。

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