2014年2月8日土曜日

奈良の観光策雑感

  先日の「若草山モノレール構想」は、知事に言わせれば、「足に障害のある方にも登ってもらえるようにバリアフリーにするためだ」ということだが、障害者問題研究とバリアフリー問題の権威である大久保哲夫奈良教育大学元学長は、「障害者団体は誰も要求していない」「バリアフリーという言葉を利用(悪用?)しているだけだ」ときっぱり断言している。
 事実、奈良県障害者の生活と権利を守る連絡会はモノレールに反対する会結成総会にメッセージを送っている。
 そこには、「若草山に登りたいという高齢者や障害者には、移動支援、同行援護、外出介護の制度を手厚くすることで対応すべきで、・・・県には(日頃から)そういうことへの冷淡さを痛感させられている」と指摘している。
 なお補足すれば、今現在でも、ドライブウェイが山陰を通って若草山の頂上まで伸びており、山頂駐車場から頂上までのバリアフリーはしっかり確保されている。
 つまり、現在でも、車椅子のままで山頂から奈良市街等を広々と展望できるのだ。

  結局、勘違いかもしれないが、若草山山麓の土産物店の要望なのかと新聞報道から勝手に推測するので、そのことについて一言述べたい。
 奈良の観光政策を論じるとき、よく「大仏商法」ということが言われる。
 大仏様がある限り、遠足や修学旅行を含む観光客は必ず来るから、工夫や努力を怠っているという主旨だ。
 そして、その脱却の方向がモノレールであると考えるなら、それは違うと私は思う。
 事実、ここ15年か10年ぐらいを振り返ってみると、旧元興寺境内周辺の奈良町は大きく変わった。
 お昼頃は、大和野菜を使ったランチなどを売りにした店に行列ができている。
 そんなお店で、隣に座った東京弁のグループに話を聞くと、雑誌で紹介されていたのでこのお店に来たという。
 そう、奈良町は知恵と努力でお客を呼んでいる。もちろん、テーマパークやギンギラギンの歓楽施設を作らないまま。(奈良町のごく一部は昔の色町が残っているが)
 失礼なことを言うが、若草山山麓の土産物店も奈良町に学んでほしい。
 二月堂から春日大社に向かう(反対かもしれないが)メーンストリートなのだから、そこで、雑誌に取り上げられるような美味しいものでも提供すれば様子は違ってこないか。
 悪いけれど、うどんも丼も、イチゲンの客を相手にしているような味だと言ったら言い過ぎだろうか。
 
 若草山にモノレールを作ろうとしたり、平城宮趾をコンクリート舗装しようとしたり、奈良県知事の発想は低劣だと私は思う。
 二月堂の舞台から眺めると、奈良の観光を担う県庁舎と近鉄奈良駅の建物が目障りだ。和風建築でなくとも学校や少年刑務所の建物が景色に溶け込んでいるというのに。
 奈良には、木津川 計氏の提唱されているように、もっと都市の品格を大事にしてほしいと願っている。(木津川氏は大阪に向かって発言されているのだが)
 大阪の心斎橋や宗右衛門町の俗化の轍を踏まないよう、奈良の文化人にはもっと発言してほしいものだ。
 奈良大好き人間の外野からの独り言。

2月8日午後の写真を追加。





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