2022年4月27日水曜日

風土

   和辻哲郎の著作『風土』が思い浮かんだが、些かロマンチックな自然環境とは程遠い「企業風土」という言葉として思い浮かんだ。

 17年前のJR宝塚線脱線事故関連のニュースと重なって知床半島観光船遭難事故が報じられたためである。

 悲惨で厳粛な死亡事故を軽々に語ることには躊躇もあるが、両者に共通するのは経済、もっと卑近な言い方をすれば「金もうけ」優先のために人命が軽視されたということではないだろうか。

 そういう考え方を「新自由主義」などと言って大いに推進してきた小泉政権以降の自民、公明による歴代政権の罪は重い。

 「新自由主義」とは哲学的には「市場原理主義」である。100%市場に任せるというほど単純な論は吐かなくても、政治などが介入しないほど経済は真っ当に発展する。公共の部門にも市場の原理を導入、もしくは市場へアウトソーシング(外注)するほど上手くいくというものである。維新の主張はその先端と言える。故に維新の「党」の伸長は非常に危険である。

 故宇沢弘文先生は「社会的共通資本」の中で、公共部門への市場論理の導入の有害性を鋭く追及されていたし、内田樹先生も、何事の発想をも株式会社の手法で対処しようとする愚について警鐘を鳴らしてこられたが、今一度こういう話を大きな声で語るべき時ではないかと私は思う。

 「新自由主義」は社会を壊す。国を壊す。その先頭を切っているのが維新である。

2 件のコメント:

  1.  新聞によると、昨年3月まで働いていた元甲板員の話として、数年前に社長が交代した後、離職が相次いだ。前の社長の時は波が高くなったら休んでいたが、今の社長は悪天候の際、「何で他は走っているのにうちは出さないんだ」と尋問されたりした。船長は周辺海域に精通しておらず、3月下旬にはFBで「ブラック企業で右往左往です」と記していた。(4月27日付け赤旗)と報じている。

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  2.  1990年代のバブル崩壊後、政権の諮問機関や果ては大臣にまでなったのが竹中平蔵氏で、彼が主導したのが新自由主義だ。それは単純に経済の問題にとどまらず、国民の意識というか世論までも転換させた。例えば解雇はそれまでは「クビ切り」という負のイメージで語られていたが、その後は「リストラ」という横文字で積極的な企業戦略のイメージで賞賛されるようになった。その下で氏は行政への人材沙件とアウトソーシングを行い大儲けを継続している。新自由主義の経済学には国民の幸福は含まれていない。現にトリクルダウンなど起こっていない。新自由主義と全面的に対決して、「やさしく強い経済」を提起している共産党の前進が本当に望まれる。

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