2021年7月29日木曜日

アジール

   「無縁」「公界(くがい)」のことは網野善彦氏に多くを学んだ。自治都市堺が無縁、公界の原理に支えられていたという論は刺激的だった。そして、無縁、公界の原理による『避難所(アジール)』のことは、別途古代史を学ぶ中で、允恭天皇が葛城玉田宿祢を捕えようとした折に玉田宿祢が武内宿祢の墓域に逃げ込んだが、それは武内宿祢の墓域がアジールであるという観念が共有されていたからだという説に接して、大いに納得したことがあった。

 孫の夏ちゃんが夏休みに入って、お母さんの仕事の日にわが家にやってきた。カバンの中にはきっと夏休みの宿題も入っているのだろうが、来たときから帰るまでカバンから取り出したのはゲーム機だけだった。要するに、食事以外はズーッとゲームをしていた。

 わが家は夏ちゃんのアジールなんだ。

 祖父、祖母の家は孫にとってのアジールでよい。どこにもアジールがなければ孫も辛いだろう。そんなことを思いながら、私は私で読書に耽った。

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