2021年7月14日水曜日

緊急事態法を思う

   「歴史的な意義」というものは文字どおり歴史が明らかにしてくれる。

   2015年9月に集団的自衛権行使を是とするいわゆる戦争法が強行成立された。安倍首相を担ぐ日本会議等は余勢をかって20167月の参議院選挙で憲法改正を成し遂げようと意気込んだ。

これに対して、国会内外で立憲主義を守れという広範な市民と野党の連帯した運動が発展し、2016年参議院選挙では共産党が「捨て身の戦術」をとり、一人区32選挙区の候補者1本化(無所属16人、民進党15人、共産党1人)のため31選挙区の候補者を取り下げ、その後の市民と野党の共闘はいろんな妨害の影響を受けながらも発展し、今日現在憲法改正は阻止されている。

安倍一強などと揶揄される状況の下で乱暴な国会運営が重ねられてきたが、文字どおり「非力ではあるが無力ではない」ことを押さえつつ、目前の総選挙を取り組む必要がある。

古い話で恐縮だが、ドイツのルター派のマルティン・ニーメラー牧師の言葉の持つ意味はますます現実課題になっている。

■ ナチが共産主義者を襲つたとき、自分はやや不安になつた。けれども結局自分は共産主義者でなかつたので何もしなかつた。  それからナチは社会主義者を攻撃した。自分の不安はやや増大した。けれども自分は依然として社会主義者ではなかつた。そこでやはり何もしなかつた。  それから学校が、新聞が、ユダヤ人が、というふうに次々と攻撃の手が加わり、そのたびに自分の不安は増したが、なおも何事も行わなかつた。  さてそれからナチは教会を攻撃した。そうして自分はまさに教会の人間であつた。そこで自分は何事かをした。しかしそのときにはすでに手遅れであつた。■

ここからが本文である。 西村担当相が飲食店の休業要請のために、応じない店舗の情報を金融機関に提供し、融資等の恫喝で従わせる旨を発言した。菅首相は「発言を承知していない」と述べ、西村大臣は「撤回」したが、コロナ対策本部の本部長は菅首相で、西村大臣は副本部長である。また、単に西村大臣が考えを述べたというものでなく、内閣府から関係省庁には文書が出され、それを受けた酒類販売の許認可権をもつ国税庁が酒類販売業者の団体に「・・取引停止を求める」事務連絡を出している。

法律に基づかない強権発動を、それぞれの法律の趣旨(金融機関の優越的地位の乱用禁止等)に反して、立法府にもかけずに強行しようとしたことは、単に西村大臣の資質の問題ではなく、この政権の反民主主義的で危険な姿勢を露わにした。

翻って自民党の憲法改正案である。そこには第9章『緊急事態』が創設されている。内閣総理大臣は・・緊急事態の宣言を発することができる。 ・・内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる。 ・・何人も、‥発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。などというものである。

もし、些細な異論を蒸し返して2016年以降の市民と野党の共闘がなかったとしたら、恐ろしい相互監視(自粛警察)社会が実力を伴って実現していたことだろう。憲法改正、非常事態法を阻止して来ていてほんとうに良かった。

改憲について、菅内閣は安倍首相ほどには声高ではないが、その体質は1ミリも変わっていない。

目前の総選挙は、コロナワクチンだオリンピックだという課題の奥にそういう大問題が潜んでいることを改めて再確認しておきたい。

先日来の地方選挙をみても、気を抜いたら負けるし、諦めなければ勝利に近づいた様子も見て取れる。一昨日、9回裏2アウトで私はチャンネルを変えたが大いに反省している。諦めたら負けである。冷笑主義(シニシズム)は弱虫の小唄である。ハイ。

6 件のコメント:

  1.  9回裏2アウト、私はチャンネルを変えず最後まで見届け、力をもらいました。

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  2.  ケンタさんの確信に脱帽。私は悲観主義者でした。

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  3. 最後まで見てビールの旨かったこと!こんな事をしてくれるタイガース、やっぱり止められん!

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  4.  ひげ親父さんも楽観主義者だった。

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  5. #西村大臣の辞任を求めます

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  6.  大阪の『見回り隊』も同じ上から目線の権力的政治です。

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