2021年7月6日火曜日

半夏生

   他の記事の都合でアップするのが遅れたが、72日は夏至から数えて11日目で、七十二候の「半夏生(はんげしょう)」であった。この日までに田植えを済ませた上での休息の日とされている。消極的な意味での「休息の日」というよりも、「この日に田畑に入ると田畑が枯れる」的な禁忌(タブー)のある強力な「休息」の日とされている。非常に近い風習に「さなぶり」というのもある。

 わが実父母はどちらかというと商家の出であったから私はこの種の行事とは無縁であったが、妻の方は育った環境がどちらかというと農村に近く、義母などは文字どおり大和の農家(地主)の娘であったので、私が民俗行事の興味から度々尋ねたが「半夏生」も「さなぶり」も「知らない」ということだった。ものの本には「大和に定着している習慣」と書かれているが、定説というものはえてしてこういうものであろう。

 なお、近畿などでは「半夏生」には蛸を食べる習慣があるともいう。「蛸の本足のように稲の根が旺盛に張ってほしいから」と書かれているが、その説は後付けかもしれない。だいたい「麦わら蛸」という言葉があるくらいこの時期は蛸の旬である。

 そんなことで、先人の知恵をリスペクトするわが家では、家庭菜園の野菜の根が張るようにとこじつけながら「半夏生」に蛸をいただいた。モロッコ産の蛸もよいが北海道産の蛸にした。何も書かれていないが「水だこ」のようで、まるで生のような感触がある。イクジイで来ていた凜ちゃんもパクパクと蛸を食べた。

 昔は、夏の胡瓜料理といえば「うざく」が定番であったが、鰻が高騰してからは「胡瓜もみ」にするのは惜しくなった。味でいうとアナゴのザクザクも全く遜色はない。さらには美味しそうな「鱧の皮」もイチオシだ。よい「鱧の皮」の「胡瓜もみ」は上品である。そして、時々は蛸がそれに代わる。「たこきゅう」は夏の食卓の立派なバイプレーヤーとなっている。胡瓜をザクザク食べると夏の毒素が体から抜けていく感じがする。

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