2018年1月30日火曜日

亀は万年

桜島の噴火
   「浮世根問(うきよねどい)」といぅ上方古典のお噺で一席お付き合いいただきたいと思いますが。

 世の中生きていくうえで、全てのことを知っていなければならないかというと、当然そんなことはありません。というよりもむしろ、ほとんどのことを知らないで生きているのが世の中というものです。

 それなのに突然、知らないことを知らないと知って慌てる気持ちが起こるのはどうしてなんでしょう。知らないということを知らないままで過ごしているうちは安泰なのに、知らないということを知ってしまうと心落ち着かなくなる。中途半端に知的好奇心など起こすと不安定になります。 

 不安定になった心のままでは気色が悪いので、何とか自分なりの安定を取り戻そうとちょっとは調べものらしき行動に出ます。最近はインターネットのお陰で手軽に情報を得られるようになりましたが、それでも面倒な迷路に入り込んだときには安直に人に尋ねて、小さな納得の器を満たすわけです。  

 ●ほぉ~ッ、何でもいわれがおまんねやなぁ……。ほな鶴はどぉいぅわけで?
 ■(甚兵衛はん)「鶴は千年の齢(よわい)を保つ」と、こぉ言ぅなぁ
 ●亀わ?
 ■「万年の劫(こぉ)を積む」と言ぅやろ
 ●あのねぇ、亀が万年生きる言ぃまっけど、あらウソだっせ
 ■そんなことあれへんがな、そないしたぁる。 
 ●絶対ウソや。わてこないだ夜店で亀の子買ぉて帰りましたんや、明くる日見たら、これ死んでましたで
 ■あぁ気の毒なことしたなぁ、ちょ~どその日が万年目
 ●そんなアホな、ホンマでっかいな。

 ・・・この落語を引いて巨大噴火は予知不可能、「明日がその日」でもおかしくないとは、火山噴火予知連絡会前会長藤井敏嗣氏(東大名誉教授)の見解。
 そして「原子力発電所の火山影響評価ガイド」をしっかり読めば広島高裁の伊方原発差し止め判決となるのが当然だと。
 ガイドは「原発から160キロ以内に火山がある場合、火砕流などが及ぶ可能性が”十分小さい”と判断できなければ、原発立地に適さない」としている。

 電力会社には、噴火の可能性が「十分小さい」とは、本白根山の噴火を予測してから言ってもらいたい。
 この話、詳しくは1月28日付け赤旗日曜版に載っている。
 えっ!取ってない。それなら直ぐに申し込まれることをお勧めしたい。電力会社等からの広告(料)を一切断っているからこそ真実に斬り込めている。こういう「単純な仕組み」にこそ真実が宿っている。

 閑話休題  29日の朝日歌壇に古代史の老大家直木孝次郎先生のご妻女の歌が掲載されていた。
 永田和宏選 召人(めしうど)と呼ばれし日もあり今はただ白寿ととなえる翁となりぬ
(奈良市)直木恵美子
 馬場あき子選 年明けの休暇終れば発掘にそそくさと行く姪は古墳へ (奈良市)直木恵美子

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