2018年1月19日金曜日

核抑止力論

   1月16日、訪日したICANフィン事務局長らと10党・会派との討論集会が実施されたのを新聞で読んだ。

 フィン事務局長や共産党志位委員長の発言から私が「なるほど」と思ったことの第一は、
 核抑止力論とは、結局はいざというときには核兵器の使用をためらわない。そういう脅しによって安全保障をはかろうという考え方だということで、「いや、それは脅しであって我々は使う気はない」というとその論は成り立たないから、やはり「場合によっては核兵器も許される」という論だということだ。
 小型核兵器か大型かは知らないが、「広島・長崎の惨禍が繰り返されてもしようがない」という論だ。安倍政権、ほんとうにそれでよいのかと私は思う。

 第二には、もしほんとうに核抑止力論が有効ならば、これまでアメリカの核の力が絶対だった時代を経て地球上には既に平和が訪れていたはずで、ところが実際には北朝鮮の核開発は進み、世界中で核拡散も広がり、地域紛争も核の力では全く収拾はされなかった。
 世の中には訳知り顔で、非核の理論を非現実的だという人々がいるが、澄んだ眼で歴史を見れば、核抑止力論では平和を達成できなかったとみるのが一番リアルな歴史の評価ではないか。

 第三には、安倍政権が「核保有国と非保有国の橋渡しをする」というなら、面会を申し入れていたICANと面会して意見交換するのが何よりも第一歩ではないか。
 大手メディアの幹部やお追従する芸能人とは酒食をするが、沖縄県知事やICAN(その運動には日本の被爆者が大いに加わっている)とは面会を拒否するとはなんということだろう。口先番長という言葉は安倍政権こそ似つかわしい。
 「橋渡しをする」の言葉は寒々しい。それでもその言葉を信じよというのか。

 第四に、トランプのテーブル上にあるという金正恩斬首作戦を含む「あらゆる可能性」ということは、太平洋戦争時の日本の空襲と同じく、北の一般市民が大量に死亡するということだし、韓国も日本も瞬時の報復で太平洋戦争規模の一般市民が死亡するということだ。これは米軍自身がそう述べている。
 その結論を聴いたトランプは「それは海の向こうのことだ」と言い捨てたという。
 「あらゆる可能性」論者に私は言いたい。あなた方ほど平和ボケした人間を私は知らない。

 最後に、安倍政権は「対話のための対話はしない」といい、北朝鮮が「核は廃棄します」「ミサイルも飛ばしません」「拉致被害者は直ぐに帰します」と頭を下げない限り対話はしない。「対話のための対話は北を利するだけだ」というのだが、文韓国大統領は既に対話に踏み切り、トランプ米大統領は「多くの良い対話が行われている。多くの良いエネルギーを感じている」と評価している。(トランプの支離滅裂は置くとして)
 安倍首相も男なら(ここは少々差別的文言だが)トランプに抗議すべきだろう。(これは嫌味でいっているだけであるハハハハ)
 言いたいことは、安倍政権は右翼であるだけでなく、現実世界を理解できていないただのヤンキーだということだ。
 チキンレースが流行った(理由なき反抗)のは1955年頃である。未だに信奉者のいる国の貧しさよ。

     戦後すぐ愚かとされし映画あり今も信ずる為政者愚か
     理由なき反抗という映画があった。ジェームス・ディーン。

1 件のコメント:

  1.  フィン事務局長の「『核抑止力』論は神話にすぎない」という指摘は、これまで日本のいろんな政党や団体が云ってきましたが日本政府が根拠にしてきた「北朝鮮の核の脅威」論をこれほど見事に論破したことは驚きでした。北朝鮮の核の脅威を現実のものとした上で「(だからこそ)核兵器を禁止するために急ぐべきだ」と日本政府が条約に署名しリーダーになることの必要性、重要性を訴えました。素晴らしい反論だったと思いました。

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