2017年9月22日金曜日

ブラック代議士

 森井博子著『労基署がやってきた!』(宝島社新書)に「ブラック弁護士・ブラック社労士」という章があり、遵法を妨害したり脱法を指南する彼らと対決した経験が書かれているが、ほんとうに世の中には悪い奴らがいるものである。
 特に、国の最高法規である憲法をさえ踏みにじるブラック代議士は、国民自身が裁く以外に最終的解決はないから、ほゞ既定事実の来る総選挙で賢明な選択をしたい。

 さて、民進、共産、自由、社民の野党4党は6月に、加計や森友などに関わる法律と予算の不正の疑いで、憲法53条に基づく臨時国会の召集を首相に求めた。
 憲法53条には「いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は召集を決定しなくてはならない」となっている。
 ところが、菅義偉官房長官は「政府は召集義務を負うが、憲法上期日の規定はない」とうそぶいて約3か月経過した今も国会を召集せず、あげくは一切の質疑抜きで衆議院を解散するという。

 このような政治的な思惑で招集を不当に延期したり、事実上招集しないのは制度の趣旨に反する。それは憲法学者ならずとも、多少は法律で仕事をしている者なら常識に属する見解だ。
 故に、これをブラック代議士といわずにどうしよう。

 繰り返えしになるが、刑法に違反した場合裁判で有罪になれば刑罰が科される。民事裁判でも判決文に基づいて財産の差し押さえが行われることもある。ルールは、こうした強制力があるから守られるという側面があるが、憲法には、このような「後ろ盾」がない。憲法を守らせる仕組みは「突き詰めていうと、かかる憲法に反する行為を裁かなければいけないのは主権者国民となる。もし、国会議員が憲法に書いてあることを無視しているのに国民がその状態を支持し続けるなら、憲法はただの紙っぺらになってしまう」

 次に、審議抜きの冒頭解散だが、京都法律事務所の弁護士福山和人氏の解説では、「衆議院の解散は、三権分立の下では、主権者国民が選んだ立法府を、行政府が解体するという究極の干渉行為なので、その権限は抑制的に行使されなければならない。なので衆議院で内閣の重要法案が否決された場合とか、主権者国民に信を問わなければならない場合に限られるべきで、内閣の都合や党利党略で行われる解散は不当というのが通説であり、内閣が好き勝手に解散できるわけでなく、まして首相の専権ではない」と。

 これほど憲法の精神を踏みにじり、ブラック解釈を行う与党自民党が「選挙で勝ったら憲法9条に自衛隊を明記する等の改憲を行う」という。
 「現実に存在している自衛隊を記載するだけで平和主義に変更はない」と言い出すのだろうが、もしそんな言葉を信じるというのなら、学習能力がないといわれても仕方がないのではないだろうか。

 「自衛隊の出動こそが条文の核であり平和主義は修飾語だ」と言うに違いない。
 現行憲法を守らない人間に憲法改正を唱える資格はない。

 【22日夜追記】志位和夫共産党委員長のツイッター
 「 野党が、憲法53条に基づき臨時国会召集を要求したのが6月22日。3カ月も店ざらしにしたあげく、こんな紙を持ってきた。これで冒頭解散なら、憲法と国会をこんなにバカにした話はない」
 (こんな紙は右のとおり)

    新月に警鐘なりや秋の虫

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