世間の常識は維新の非常識らしい。
大阪市長が5日、大阪都構想そのものの「特別区」と、大阪市を残したままの「総合区」をごちゃ混ぜで議論することについて、「この任期、総合区とか作戦練って進めてますけど、山の頂上っていうのは特別区やって都構想やって、経済成長するような日本を引っ張るような街にしたい。そりゃカモフラージュすることありますけど、それは作戦ですから」と支持者を前に発言した。
6日の議会では「僕は別にカモフラージュって言葉使ってませんから。そういった言葉使われるのはどうかなと。いささか心外ではあります」と居直ったが、7日には「確かに言った」と謝罪した。
早い話が、「総合区」というのは公明党を引き込むためのカモフラージュで、上手く騙して「大阪都」=「特別区」に誘導するのが本心だと支持者たちに語っていた訳だ。
そういえば、橋下徹は「これが最後の機会だ」と言って「都構想の住民投票」をしたが、その「最後の機会」というのも市民を煽るための嘘だった。
そして今回、堺市長選挙に立候補した維新の候補者は「都構想は争点ではない」と言っている訳だが、ここまで来て、この言葉を信じるということになれば、それは学習能力がないということにならないか。
大阪都構想について、堺市と同規模(さらに人口の多い)東京都世田谷区保坂典人区長は、要旨次のように述べている。
『世田谷区は7つの県(佐賀・島根・鳥取・徳島・高知・福井・山梨)を上まわる人口規模を持っているが、首長の権限は一般の市町村長以下と聞くと、まさかと思う人も多いかもしれない。
まず、税収が限られている。法人住民税、固定資産税(個人・法人)等は、都が徴収し、その55%が区に配分される「財政調整制度」で運営されている。
財源を握っている都の立場は強くなり、配分を受ける区は「さじ加減」に財政上の大きな影響を受ける。
例えば、楽天本社が移転してきたが、都が法人住民税を受け、区には直接の税収はない。
間接的には、住民増で税収があがる等のメリットがあっても、ただでさえ足りない保育需要が上昇する等の仕事を抱えることになる。
一方で地方分権の流れで、都市計画決定権限が市町村に移行したが、「特別区」だけはまちづくりに重要な「用途地域」等を決める権限が除外されている。
例えば、文化・芸術のインフラとして、ライブハウスや小劇場がつらなるまちづくりを誘導しようとしても、「用途地域」の変更なしには進められないのが現状。ソウルでは、テハンノ(大学路)には小劇場が密集しているが、小劇場を持つビルオーナーに対して、固定資産税の減免を行なっている。世田谷区には、その権限はなく、固定資産税の減免という切り札を区の政策で使うことは出来ない。
・・だいたい、これまで、政令指定都市の住民自らが「市の解体」に賛同したことは聴いたことがない。神奈川県には、横浜市、川崎市、相模原市と3つの政令指定都市が存在するが、例えば横浜市を解体して、神奈川県の特別区にするという議論はあまり聞いたことがない。むしろ、横浜市は政令指定都市からさらに自治権を確立した特別自治市を提唱している』。(以上、発言要旨)
如何だろう。私は世田谷区長の主張の方が世間の常識で、大阪維新の主張の方が非常識だと思う。
結局のところは、堺市の財産を府に巻き上げたいだけだろう。
堺市の市民一人当たりの市債(借金)残高は大阪市の半分で、20政令指定都市中第5位というトップクラスの健全財政。
大阪府が財政悪化で維新府政後5年連続イエローカード(起債許可団体)になっていることと対照的だ。
大阪市でバクチ(カジノ)による町おこしをしたいから堺は金を出せ!というのが許されるのかどうかが堺市長選挙の争点だろう。
そう考えると、竹山市長を再選させることが堺市民にとってどれだけ大切かが解ると思う。
鈴虫や白昼の駅の草叢
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