2017年9月20日水曜日

拉致問題のこと

 拉致被害者・蓮池薫氏の兄で「救う会」元事務局長の蓮池徹氏が2015年に講談社から出版した本の題名が『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』だ。
 内容を要約すると、2002年に5名が日本に戻ったときに官房副長官だった安倍晋三や内閣官房参与だった中山恭子(現・日本のこころ代表)は「一時帰国だから北へ帰れ」「いつ北に戻るのか」と指示をし、それに反して「戻れば二度と帰国できないから北へは帰らない」と行動したのが該当被害者と家族であった。
 そういう事実があったにもかかわらず、その後安倍晋三は5名の帰国を自分の手柄話にして、さらには被害者と家族を自民党の選挙の応援にかり出したり改憲・右翼の集会にかり出した。
 こうして、「対話のための対話はしない」という対北政策で高齢になった被害者と家族の願いは全く放置され、拉致問題はいっこうに進まないまま政治利用された・・というものである。

 この拉致問題について、思わぬ人物がよく似た批判をしている。
 人物は、「新しい歴史教科書をつくる会」初代会長で、バリバリの右翼の論客。西尾幹二氏である。
   西尾幹二氏は、週刊誌や月刊誌で「私は単純に安倍首相の人間性に呆れ、失望しただけです」と、安倍首相を右側から痛烈に批判している。
 そして、「拉致のこの悲劇を徹底的に繰り返し利用してきた政治家は安倍晋三氏だった。(中略)主役がいい格好したいばかりに舞台にあがり、巧言令色、美辞麗句を並べ、俺がやってみせると言い、いいとこ取りをして自己宣伝し、拉致に政権維持の役割の一端を担わせ、しかし実際にはやらないし、やる気もない。政治家の虚言不実行がそれまで燃え上がっていた国民感情に水をかけ、やる気をなくさせ、運動をつぶしてしまった一例である」と述べている。

 あえて言えば、安倍晋三にとって被害者の救出は興味の外である。
 興味の対象は、勇ましい言葉を並べて自分を飾り立てて政権支持率に誘導することだけである。
 Jアラートで国民に「怖いぞ怖いぞ」と煽りながら、自身は外遊し、はては衆議院を解散するのである。
 こんな大嘘つきが権力を握っているのだから、保革の立場が違っても、およそ良識人なら今度の選挙では安倍自公政権にレッドカードを突きつけなければならないだろう。

    秋風やアオマツムシは口ばかり

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