9月26日付けで宮内庁長官が退任した。
通例では宮内庁幹部の人事異動は春にされていたので今回は異例である。
その後(あと)の長官には次長が昇任し、その後の次長には西村内閣危機管理監(第90代警視総監)が就任した。
つまり次長は次代の長官になるわけであるが、それが22年ぶりの警察官僚となった。
これも通例でいえば、事務次官経験者がどこかの省の顧問を経て就任するものなのだが、官邸バリバリの危機管理監から直通での就任は異例中の異例である。
私は以前の「天皇のお気持ち」の記事で、「安倍首相は怒り心頭だろう」と書いたが、今回の人事異動は明らかな安倍内閣の報復人事である。
あまり世間で知られていないことだが、官僚の人事は以前は基本的には各省庁のルールにのっとって行われてきたが、現在は官邸が人事を一元化している。
このことで、「野人」といわれるような骨のある官僚が全てパージされ、それぞれの省庁設置法の基本精神ではなく政権の思惑通りに働く僕になっている。
いま報復人事だといったがそれだけでは正確ではないだろう。
はっきり言えば、これは安倍晋三による「天皇封じ込め」策である。
西村次長はその刺客である。
ピント外れかもしれないが、共産党の支持者の皆さんの中には、天皇のお気持ちなどにコメントするのを嫌う気分があるように私は思う。
しかし、何も天皇におもねて安倍批判をするつもりはないが、安倍首相の天皇に対する傲岸不遜の態度は憲法や民主主義の観点から批判されるべきではなかろうか。
現憲法を純粋に守る立場に立つなら、天皇問題への安倍内閣の態度をもっと批判していかなければと私は思う。
首相は、子飼いの内閣法制局長官に「特別立法がよい」との誘導答弁をさせている。
「お気持ち」に沿うなら皇室典範の改正が筋だろう。
黙っておれば官邸による天皇の政治利用が大手を振る。
それは明らかに大日本帝国憲法体制への回帰の道だろう。
現下の天皇問題は、戦後民主主義の危機の一側面だと私は考える。
安倍内閣の傲岸不遜、全く同感です。
返信削除香菜子先生、「同感」とのコメントありがとうございます。これからも、小さくとも声を上げ続けたいと思っております。コメントに勇気をいただきました。
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