「よなぼこり」は季語「霾(つちふる)」の傍題で、黄砂のことを「西域の夢の抜け殻」ではないだろうかと感じたものを詠んだ。
古来、玉門関の西のシルクロード沿いのオアシス地域は中華文明とは別の文明であったが、文明の主人公は度々変わり、中華人民共和国建国前後から彼らは「ウイグル族」と呼ばれるようになった。
民族問題の根底に経済格差(差別)があり、ひとつの事件が大きな暴動に発展したりすることはアメリカの黒人問題(ブラックマター)やヨーロッパの移民、さらにはパレスチナ問題にも共通することで、2009年のウルムチ騒乱などは漢族の女性がウイグル族の男によって強姦されたというデマから出発して数百人規模の衝突事件に発展したもので、関東大震災時の朝鮮人虐殺さえ思い起こさせる。
その前には2001年の9・11によって「イスラム教徒=過激派」のイメージが非イスラム国で広まっていたから、詳細はいろいろ不明ながら中国政府によるウイグル族への人権侵害は疑えない。
ただし、「反中」の一点でネット右翼や自民党の右派が「ウイグル民族主義運動」と結びついて煽っている事実も見ておく必要がある。
以上が、私が「中国政府は少数民族への差別と抑圧をやめよ」という立場から、黄砂を「西域の夢の抜け殻」と感じた所以である。
※ 写真はネットにあった「世界遺産の自転車事情を巡る旅日記」さんにあったもの。
塀に描かれた絵、中華文明ではない別の文明であること一目瞭然。湿気に満ちたモンスーン地帯に住みながらどこか惹かれるのは何故!
返信削除