100分で名著の番外編のような本で、能楽師安田登氏が開成高校で行った司馬遷の史記に関する特別授業の講義録だった。
中国の古典は嫌いな方ではなく、若い頃は十八史略をワクワクしながら読んだこともあったが、いつごろからかその種の本から遠ざかっていた。
それに、常に読書中の本をソファーの横に置いた生活を続けてきているから、読みたい本に限りもないなか、今さら中国古典!という感じで手も伸びず、書店でも目にも留めずに来ていた。
しかし、父親に対して、もっと徳を積め!ということなのだろうか、息子自身もエエ歳になって感ずるところがあったのだろうか、「面白いから置いとくわ」となったのだろう。
内容は、史記の中のいくつかの件(くだり)を読んで、著者の見解を現代社会から未来社会に生きる高校生に訴えるもので、単なる歴史物の講談みたいなものでは全くなかった。
近頃はどんな調べ物でもスマホで簡単に結果がでる?時代であるが、検索せずとも送られてくるニュースや知識?はフィルターバブルと言って選別されたうえで送られてくる。
さらによく似た情報がコダマしあうエコチェンバーがうまれ、情報の大きな偏在は一種の洗脳状態を生み、兵庫知事問題での犠牲者等はそうした結果(加害によって)生まれたといわれている。
そういう時代だからこそ、紙媒体が腰を落ち着けて提供する知識は重要になっている。そんなことを実感した読書の時間であった。けっこう面白かった。
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