2020年1月11日土曜日

奈良の十日戎

 昨日の記事で中国の春節は半月先だと書いた。
 だから日本の正月休みも終わり、中国の正月休暇はまだだから、この時期の奈良公園は森閑としているものだとばかり思って出かけてみると、中国人観光客の多いこと多いこと、ほんとうに驚いた。
 まさかこのまま旧正月休暇に突入するのではないだろうね??
 中国の全部ではないにしても、確実に彼の国は豊かになりつつある。いや、日本が相対的に貧しくなっているのか。(統計上は明らかにそうなっている)
 福の神・戎さまにお参りに行く前にそんな不景気なことが頭をよぎった。

   今年の十日戎は春日大社境内の佐良気神社に行った。
 大阪の今宮戎のようなスピーカーからの「商売繁盛で笹もってこい」的なお祭り気分や、裏に回って「ドンドンドンえべっさん頼んまっせ」の愛すべき風習には欠けるが、ここの十日戎は神事という雰囲気が満ち満ちていてこれはこれで良いものだ。

   風習?でいうと、ここは今宮戎同様笹がみんなに(無料で)配られる。その素の笹を持っていって吉兆を付けてもらうのだから、文字どおり「笹もってこい」であるのも嬉しい。(最初から吉兆付きの笹を”買う”方式の神社やビニール製の笹の神社も少なくないが)

 そうして、写真のとおり吉兆を付けてもらった後、鈴を振って福を授けてもらう。
 私は毎年、基本形プラス1点か2点程度しか付けないから、、最初に「小ぶりのを頂戴」と言って小さい笹にしている。
 周囲の方々は立派な吉兆をたくさんつけているから、ともすれば張り合って付けたくなるが、「その年の勢いでたくさん付けたらあかん」というのは私の祖母の遺言であった。
 この福笹は1年間、床の間の掛け軸の斜め横に吊るしておく。

 春日大社周辺では、中国人観光客が素の笹を嬉しそうに土産にしていた。
 思うに、中国の文化は極めて現世的だから、十日戎が福の神、商売繁盛の神などと知れ渡ると、今後この行事も超満員で近づきがたくなるかもしれない。
 京都では近頃観光公害(オーバーツーリズム)が大問題になっている。何事もほどほどがよろしい。

   健常でなかったという戎神弱者の声を受け止めるべし 

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