2019年7月7日日曜日

祝世界文化遺産百舌鳥古市古墳群

   7月6日にユネスコの世界遺産委員会は百舌鳥古市古墳群を世界文化遺産に登録することを決定した。
 若いころ「御陵さん」を毎日眺めて暮らしていた堺大好き人間で、その後奈良で暮らしたことで古代史大好き人間にもなった私としてはうれしい限りだ。
 ちなみに、宮本たけし前衆議院議員も実現に向け努力されていた。 

 余談ながら、維新の都合で知事と大阪市長が入れ替わったが、「伝仁徳天皇陵をイルミネーションで飾ろう」と主張した松井一郎がこの時点の知事でなくてよかった。

 ただ、この時代の歴史は解らないことが多いので、世界遺産に浮かれずに、巨大前方後円墳についても、「解らないことは解らない」という謙虚な姿勢が必要だ。

 その種の謙虚さが欠けている安倍首相は、G20の夕食会の挨拶で「ここ大阪は、4世紀頃に仁徳(にんとく)天皇により都に定められ・・・」と語ったが、結論を言ってしまえば、それは戦前の皇国史観に通じている。
   だから、職場のOB会で堺を歩いた際、百舌鳥古墳群を「主に5世紀頃に造られた」と話してきた私としては、安倍首相の4世紀頃という挨拶にはいささか違和感を覚えている。

 極右団体日本会議の顔である安倍首相のことであるから、根拠は日本書紀に違いないだろうが、それに基づけば仁徳天皇の享年は143歳となるがそれでいいのか。

 同じく書紀によれば仁徳の父の応神の出生について、母(神功)の妊娠期間は1年3か月余り、夫の仲哀の死亡からでも10か月余り、よって腰に鎮懐石(しずめいし)を挟んで新羅に出陣したというから現代の科学的常識でいえば仲哀の子ではない。応神は万世一系ではない新王朝だが、それを認めるかどうか、日本会議の皆さんからあまり聞いた覚えがない。


   さらに大阪が都になったのは仁徳以前に応神の大隅宮があったのだが、これは陪都として無視するのか。

 一方、年月日が記録されている宋書、梁書の「5世紀の倭の五王」は特定できるのか。できない。
 「武が雄略(ワカタケル)のタケル」という定説?も本当だろうか。「健(タケル)」ではないのか。
 また、古市と百舌鳥の巨大古墳の造営順と書紀等の矛盾を如何に考えるのか。(これについてはこのブログでたびたび書いてきた)

 書き始めるときりがないので書かないが、現在の科学的到達点で「解らないことは解らないと言おう!」と私は言いたい。
 それを、半分神話的な書物を持って現代の一国の首相が解ったかのように語るのは、この国の戦前の歴史を見ると危険でもあると思う。

 先日、イージスアショアの配備をめぐって防衛省を批判した秋田県知事に対して「国賊」というような言葉の攻撃が集まったという。
 私の杞憂(取り越し苦労)と笑わないでほしい。
 歴史を狂信的に語る自公政権はこの選挙で退場させたいと本気で考えている。

 純粋に古代史大好きで大阪大好きな人間は、世界や後世の人々に笑われないように立ち振る舞いたい。
 少し驚ろかれる方もおられるかもしれないが、大阪や京都や奈良でも、古代の天皇の歴史や寺院を含めて、本当に保存し大事にしようといっているのは共産党だ。
 いわゆる保守だという政治家に限って、開発だ観光だといって文化を踏みにじっている。「学芸員が癌だ!」と言った大臣のとおり。

 この選挙で、共産党を伸ばして本当に歴史的な文化を守っていこう。 

3 件のコメント:

  1.  奈良の経験で言いますと、春日大社の神域横の若草山にモノレールを作ったり、天皇の都であった平城宮趾をテーマパークにしようとしたりするのが自公政権につながる人々で、それに反対して、歴史的遺産を守れという運動を支持し、ともに運動しているのが共産党です。
     ちなみに共産党は、天皇の制度を含めて現行憲法を厳格に守ろうとも主張しています。
     保守の哲学者中島岳志氏が、保守の立場から各党の政策を見ると共産党と一致すると言われているのも重要な指摘です。

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  2. 仁徳天皇といえば小学校で先生が民の困窮を見かねて租税を免除し民の暮らしが良くなったのを見て「高き屋にのぼりて見れば煙けぶり立つ民のかまどはにぎはひにけり」と詠んだと教えられました。(のちに長谷やん氏がおっしゃるようん神話であったが)安倍首相らが仁徳天皇のことを語るならこの歌のように民の生活に目を向けて欲しいものです。

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  3.  安倍首相が天に唾したわけですね。仁徳天皇の神話に基づけば消費税の増税は真反対の行いです。
     民を疲弊させて税収の上がったのを喜ぶのは大昔からリーダー失格です。

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