2019年7月25日木曜日

参院選結果のちょっとした感想

 最初に断っておくが、これはただの一共産党サポーターの感想である。
 ◆ 全国的には ◆
 テレビや新聞の見出しでは「自公が過半数」とまるで安倍政権の大勝利のように感じられるが、冷静に見ると、自民党は単独過半数を割り込んで△1156、+2の公明党、+2の維新と組んでも参議院の3分の2を割り込んだのだから、この選挙結果は「市民と野党の勝利」と言っていいのでないだろうか。
 特に32の一人区で「自民10敗」を生んだのは「市民と野党の共闘」の成果以外の何物でもなく、それぞれ生まれも育ちも家風も違う人々が団結を強めた経験は未来に向かっての貴重な土台になった。
 その縁の下で表裏なく努力を続けた共産党はよく頑張った。
 共産党の選挙区選挙でいうと、埼玉で21年ぶりに当選し、徳島・高知選挙区の野党統一候補になった松本氏は野党比例票の合計を上回り、高知新聞が「野党統一がもっと早く決まっていれば勝利も」と報じるほどだった。
 比例票は、何年の選挙と比較するのかで様子が変わるが、3年前の2016年参院選と比較すると、
     今回の票と率   2016年参院選票と率  差引
共産党  4,483,411  8.95%  6,016,195 10.7%  △1,532,784 △1.75%
自民党  17,711,862 35.4%  20,114,788 35.9%  △2,402,926 △0.5%
公明党   6,536,336 13.1%     7,572,960 13.5%  △1,036,624 △0.4%
維新会   4,907,844  9.8%     5,153,584  9.2%    △245,740 +0.6%
 また、直近の選挙であった2017年総選挙と比較すると、
     今回の票と率   2017年衆院選票と率  差引
共産党  4,483,411  8.95%    4,404,081  7.9%    +79,330 +1.05%
自民党  17,711,862  35.4%  18,555,717 33.3%  △843,855 △2.1%
公明党    6,536,336  13.1%    6,977,712 12.5%  △441,376 +0.6%
維新会    4,907,844   9.8%     3,387,097  6.1%  +1,520,747 +3.7%
立民党  7,917,719  15.8%  11,084,890 19.9%  △3,167,171   4.1%
・・・と、なっている。つまり、2016参院選、2017衆院選、2019参院選とみると、自民党と公明党は一貫して低下しており、政治的にはその分を維新が肩代わりしているように見える。
 そして共産党は、かろうじてではあるが低下に歯止めをかけたように見える。
 ただ、比例区50議席の51番目が共産党であったから、あと177,605票で自民党を1減らし共産党が5議席になっていた。
 全国の市町村数1,741で割れば1自治体で102票だから、ほんとうに「あと1票、あと2票伸ばしてください」に応えられていれば、・・とはなんやらの皮算用。ともあれ選挙は恐ろしい。
 ということで、この程度の数字に安住してはならないが、絶望することもないと言ったら厳しすぎるか。

    大阪のこと ◆
 大阪選挙区ではたつみコータローと立民亀石倫子が共倒れしたの感があるが、結論を言えば近い将来の2議席を展望し、数字合わせで悔しがるのは間違いだと思う。
 大阪選挙区は、2013たつみコータロー 468,904 12.79% 当選
        2016わたなべ結    454,502 12.18% 落選
        2019たつみコータロー 381,854 10.93% 落選
・・・と、推移している。
 ただ全国の傾向同様、比例票 334.452 9.64% は、2017衆院選の 316,651 9.1% よりは反転している。
 そこは押さえておいても、大阪で比例票一桁というのは全国にも申し訳ない結果であり、あまり、反転した、前進したなどと言っていては深刻さがあいまいにされる危険性がある。
 言いたいことは、大阪は本気で反省し総括しようということである。

    総括の際に思うこと ◆
 安倍や維新のフェイクもあるし、大阪ではあの吉本と在版メディアの維新肩入れ問題もあるが、そういう他所のことは置いておいて、共産党は共産党として大いに議論しあう必要があると思う。
 その際、確かに自身の地力の強化、あるいはあかはた読者の拡大が肝要であることはその通りだが、一度その結論は別において、あるいは「どれだけ献身したか」的な懺悔は別において、まずは、愉快に「ご苦労さん会」が必要だと思う。「ご苦労さん会をしよう」という大きな呼びかけを皆でしてほしい。
 各地で起こった珠玉の経験を楽しく交流したいとおもっている。
 お互い「体調がよくない」とか「家庭の事情がある」ことも認め合って、楽しい反省会をしたらよい。
 そして夢は大きく、今後の楽しい選挙運動を皆で考え抜いてみたいがどうだろう。
 そういう展望を語る時、私個人としては2016年あかはた元日号の中野晃一先生の示唆が大いに参考になると思う。

201613日日曜日にこのブログに書いた「メッセージの伝え方」は次のようなものだった。
 ◇ しんぶん赤旗元日号のトップ記事は、上智大学中野晃一教授と共産党志位委員長の新春対談で、全体では3頁半もあるものだったが、「立憲デモクラシーの会」の中心メンバーで2015年の市民運動の立役者の一人であった中野氏だけに内容の濃いものだった。
 各所に興味のある話も多かったが、「メッセージの伝え方」という小さくない「中見出し」の部分の対談も新鮮な話題が多かった。中野氏の発言のごく一部を摘んでみると、
  ・・例えば、シールズの皆さんと理念などを議論すると、ではどうやってそれをビジュアル化するのかということを徹夜作業並みの時間をかけて議論する。
 ・・「学者の会」などはおそらく自分たちは正しいメッセージをもっているから、それは伝わるだろうという、ある種のおごりもあるんだと思う。
 ・・もう一つは、伝えたい相手に対する敬意、若者の言葉でいうとリスペクトで、われわれに欠けていた。
 ・・われわれ大学の教員と共産党というのは似ていて、同じようにうっとうしいように思われている(笑い)。常に正しい答えを知っていて説教しているようなところが多分にある。
 ・・メッセージの伝え方について、もっと謙虚にあるべきではないか。・・・・など。
 これは私などがミニコミ紙などを作る時にも大いに参考になる意見だとつくづく思った。
 ともすれば、どこかで読んだ文章をつなぎ合わせたようなお説教口調になっていないか。
 一本調子で政治や社会への不満や怒りの言葉だけになっていないか。
 そういえば、何時かの記事にも書いたが戦争法案の頃ターミナルで、「これは、あんたらのことなんやで」と若者に説教口調で演説をしていた人がいたが、その口調から「ああ、あの演説は若者の心には届いていないなあ」と私は感じた。そんなこともある。
 正月から再認識させられる内容豊富な対談だった。
◇ シールズの皆さんの経験ではないが、選挙戦で政策をどう解ってもらうように手立てをするか、徹夜でなくてもそんな議論と知恵を集約すれば未来は愉快にならないか。

2 件のコメント:

  1. 1自治体で102票なら1投票所では?なんて思ってしまいました。此花区でたつみ候補がトップだったのは希望です。今後に行かせたいですね。

    返信削除
  2.  「大阪は2017衆院選よりは前進した」などと言っていてはいけない気がします。
     新聞もとっていない、マンションにはチラシも入れられない、情報はネットで得ているという人々が増えていますが、そういう状況を指をくわえて傍観していてよいはずがありません。
     いろんな知恵を出し合いませんか。

    返信削除