2018年6月16日土曜日

美しくて怖いもの

 若い頃、私はモリハナエの蝶のデザインのネクタイを数本持っていた。好きだった。
 しかし感覚的にいうならば、世間にはトンボよりも蝶が嫌いという人(特に女性)が多い気がする。翅の鱗粉が有害の粉末毒薬(殺虫剤?)を連想させているのかもしれない。我われ世代ならDDT。

 ところで、一般的にいえば蝶は草食でトンボは肉食である。
 だからといって、そも自然界には肉食・草食に何の倫理的上下関係はない。
 肉食が残酷だという理由でベジタリアンであることを主張するのは当を得ていないと私は思う。
 
   とはいうものの・・・、先日、目の前にヤンマが飛んできた。
 何かがおかしいぞ!と思って見てみるとアゲハ蝶をくわえていた。
 蝶は羽ばたいて抵抗していたが、ヤンマが「翅はじゃまだ」と片方の翅を噛み切って捨てたところを写真に撮った。
 片方の翅はひらひらと美しく落ちていった。
 ヤンマは片方の翅を残したアゲハ蝶をムシャムシャと喰っていた。

 巷間、夜の蝶という形容があるがほんとうに美しくて怖いのはトンボの方だった。
 先日来観察しているモリアオガエルの池ではカエルが死んでいた。
 肉食昆虫もいろいろだから一概には言えないが、犯人はトンボの幼虫・ヤゴかも知れないと私は睨んでいる。
 ものの本には「トンボはオオスズメバチも襲って食べる」と書いてあった。事実は小説よりも奇なりである。

 既成概念を取っ払って事実を直視せよ!というのが何事にも出発点かも知れないが、ちょっとだけ「見なかった方が良かった」と思った瞬間だった。
 とまれ、これも一般論だが、農耕民族にとって蝶は害虫、トンボは蚊を捕ってくれたりするので益虫といわれたりする。まあ人間様の勝手な言い分であるが。

   蝶喰らうヤンマに何の咎(とが)あろう

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