2018年6月22日金曜日

道端の合歓の花

   芭蕉の有名な句に『象潟や雨に西施がねぶの花』がある。
 西施は中国春秋時代、越王句践が呉王夫差に献じた美女で「顰(ひそみ)に倣う」の故事もある。

 蘇東坡は西湖の景勝を西施に例えて「若シ西湖ニ把ツテ西子に比セバ、淡粧濃沫総ベテ相宜シ」と詠った。

 芭蕉の先の句は蘇東坡の詩をふまえ、一般に「雨に煙る合歓(ねむ)の花に西施が物思わしげに目を閉じている趣をみた」と解説されている。

 わが家から近い散歩道の周辺にも雨に煙って合歓の花が咲いている。
 そしていつも思うのだが、合歓の花は場違いに美しくバタ臭い。
 私には江南の西施というよりも洋菓子の匂いがする。
 モンスーン地帯の梅雨時にどうしてこんなバタ臭い花が咲くのだろうと不思議に思っている。
 芭蕉にはそんな違和感がなかったのだろうか。

 大阪市内のホームセンターでジャカランダの苗木が売られていた。
 これも美しくもバタ臭い花である。
 実際にはあちこちのお寺などに咲いているから私の偏見に似た感覚なのかもしれない。
 こんな街の風景にバタ臭いなどと言うのは私が時代遅れの証しだろうか。

   道端にケーキの欠片(かけら)合歓の花


   右の表は平井一隆氏のFBからシェアされて広がっているもので、あまりに出来が良く笑ったので転載した。
 こういうのは「顰(ひそみ)に倣った」というよりも、猿真似というか「類は友を呼ぶ」と呆れかえるのが正しいのだろう。(図の上でクリックして拡大して読んでほしい)

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