続いて日産(ニッサン)では完成検査を無資格者にさせていたというのも判明したが、わがマイカーも丁度それに該当していて少々立腹している。
東芝の粉飾決算も、神鋼のデータの改竄も、日産の無資格者に検査をさせたのも、最初にした者の責任は非常に重いと思うが、同時に、私の長い職業生活の経験からして、その不正に気付いたものは少なからずいたはずである。「担当まかせにしていたので誰一人分らなかった」というのは絶対に大嘘である。
「会社の外には憲法があっても会社の中には憲法も法律もない」というのが日本の会社主義の一番の欠点と言われるが、「これはおかしい」と指摘する社員は疎んじられ、場合によっては叱責される。そういう「社内文化」こそが主たる原因である。
そのさらに遠因を考えると、国会で大嘘つきが大きな顔をしているのをくり返し見せつけられることが、この社会を大いに歪めている。
まともな内部指摘が評価される企業文化があってこそ、企業と商品の信頼が高まり社会も調和するのである。ニッポンブランドを汚しているのは経団連中枢企業でないか。
では、個人で品質を計る術のない庶民はどうすべきか。
それは過去の記憶を忘れずに、「これは信用できない」という常識力を高めることではないだろうか。
というようなことを考えると、今まさに選挙戦の最終盤である。ポスターもテレビ広告も「良いこと」が並ぶ。
もし、過去の行動を検証せずに、その言葉を信じるなら、庶民は永遠に「偽装」や「粉飾」に騙され続けるだろう。
私は個人的にはマニフェストの比較検討というものにもあまり意義を感じない。明日覆される可能性のある文言の比較にどれほどの意味があろうか。
それよりも、何百倍も大切なことは、その人や政党のいま言っていることが信用できるかどうかの検証に他ならない。
民主主義の問題、平和の問題、税制と経済の問題、どれをとっても自民、公明、希望、維新の過去の行動には嘘がある。
一方、共産党は、今次選挙でリベラル野党の前進のために身を捨てて献身している。その姿に嘘はない。
思想家内田樹氏は「期日前投票で比例区はどこにいれたんですか?と各方面から聞かれました。立憲民主党、共産党、社民党のどれにしようか迷いましたが、今回は立候補取り下げで野党共闘を成し遂げた共産党の「痩せ我慢」に一票を投じました」と公表されている。私はここに知識人の良識を見る。
最後に、伊勢新聞の記事を紹介する。
◆ 衆院解散の前夜。共産党県委員長の大嶽隆司は伊賀市にいた。三重2区の公認候補取り下げと民進党候補の一本化に向けて開いた党員らとの会議。市民連合みえと結ぶ協定書の確認や統一候補を応援する方法の検討など、野党共闘を前提に話し合っていた。
会議のさなか、大嶽の携帯が鳴った。党本部に当たる中央委員会からだった。慌てて電話に出ると、こう告げられた。「民進党が明日の両院議員総会で希望の党との合流を決める。全員が希望に行くらしい。候補者の統一はいったんストップだ」。
大嶽はあぜんとした。朝から民進と希望の合流を伝えるニュースは出回っていたが、「まさか全員が希望に行きはしないだろう」と考えていたからだ。その読みは外れた。電話を切った大嶽は議題を独自候補の擁立に切り替えた。〝突貫工事〟の始まりだった。
翌日から独自候補の擁立に向けた作業に追われたが、一週間を経て「二度目のびっくり」に直面した。民進出身の前職らが相次いで無所属での立候補を表明したのだ。これを受け、共産は1区と2区で候補者の取り下げを発表。公示まで残り四日だった。
市民連合みえと三野党が結んだ政策協定の調印式で、大嶽は誰よりも笑顔で報道陣のカメラに収まった。笑顔の背景に「安倍政権打倒」への期待があることは想像に難くないが、紆余曲折を経てたどりついた野党共闘の成立に達成感を覚えたのだろう。
野党共闘の本質は共産の候補者取り下げに他ならない。独自候補を失うという重い決断。直接のメリットもない。にも関わらず、世間では民進出身者が無所属を選んだことによって野党共闘が成立したと語られる。共産は野党共闘の上で、いわば「影の存在」だ。
それでも大嶽は不満そうな様子を一切見せずに統一候補を支援する。なぜか。離合集散の野党に翻弄された感想を尋ねると、こう話した。「うちの党はぶれない。私は共産党で本当に良かった」。激動の政界にあっても揺るがない党が大嶽の矜持なのだ。(引用おわり)
贔屓でいうのではないが、ここには文句なしに清く献身する人と政党がある。
「あの時代にどうしてた?」と尋ねられて、孫子(まごこ)に恥ずかしくない行動をしたい。
とすると「比例は共産党」、それが答だと私は思う。
痩蛙まけるな一茶是に有り 小林一茶
籾臼は土臼だったと教えられ
痩蛙まけるな一茶是に有り 小林一茶
籾臼は土臼だったと教えられ
内田樹氏の「痩せ我慢に一票」で思い出しましたが、1970年代に部落解放同盟朝田派が暴力と利権をほしいままにしていた頃、ただ一人共産党だけが真正面から批判し、暴力にもさらされました。当時、共産党を支持してくれる方々でも「解放同盟だけは相手にするのは不利だから止めといたら」という「忠告」を受けました。
返信削除それでも目先の損得や恐怖に負けずに闘ったのが共産党でした。
「痩せ我慢」大好きです。