2017年10月10日火曜日

昭和史を思い出す

   蓮舫氏には執拗に「戸籍を見せろ」と迫った政府と与党が、ノーベル文学賞受賞イギリス人作家カズオ・イシグロ氏には内閣総理大臣名のコメントを発表した。氏の国籍はイギリス。
 (讃えることそのものに全く異論はないが)、ということは、彼らにとっては、結局、国籍ではなく血統、人種が重要なのだという人種主義だろう。

 続いてノーベル平和賞に「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」が受賞した。
 受賞理由に「核兵器禁止条約採択に果たした活動」が評価されているが、条約にはHIBAKUSYAという言葉もあり、ヒロシマ・ナガサキのヒバクシャと市民社会の運動が讃えられている。ICANの国際運営グループ共同代表は国籍も日本人である。(きっと)

 というように、ICANには政府与党が好きな?日本国籍の人々が大きく含まれているにもかかわらず、また国連事務総長をはじめ世界中がその受賞を讃えている中で、イシグロ氏のときとは一転して政府はコメントを発表しないと決めた

 となるとこれは単純な人種主義でもなく、日本国民であっても「こんな人々」と思った人は認めないということで、早い話が政府が「良い日本人」と「嫌いな日本人」を峻別しているわけで、嫌な言葉であるが「国賊」という言葉の復活に違いない。

   先日、国連総会で安倍首相が演説をしたが、テレビが議場を映したとき、そこはガラガラで、しかも退場する国がいっぱいあった。それはある種、異様な光景だったが、世界中から「トランプの演説を聴けば属国の演説など聴く必要がない」と思われている証左だろう。
 その席で安倍首相は、ほとんどの時間を北に費やし、「対話は無意味」「すべての選択肢を持って圧力あるのみ」と演説した。その言葉、どっかで聞いたことがあるような!

 10月3日に書いたが北朝鮮は世界の国の80%以上160か国以上が国交を樹立している国である。
 樹立していない先進国は日本、アメリカ、フランスぐらいである。
 「対話せず」「相手にせず」は戦前の失敗の道ではないだろうか。ほんとうにそう思う。
 余談ながら創価学会の池田名誉会長はICANに祝電を送った。

   私はいま、昭和13年に近衛首相が日中戦争に関して「国民政府(蒋介石政権)を相手とせず」という有名な声明を発表したのを連想した。
 結局それで和平への最後の機会を自ら逃し、引くに引けない形で敗戦へと向かった。
 国力がもたないのを解っていながら勇ましい言葉を連ねる政治には嘘があった。
 そして、残念ながら多くの国民はその言葉に誘導されて人殺しをし、殺されていった。

   アメリカのジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院は、偶発からでも戦争になれば日韓で最大380万人が死亡し1360万人が負傷すると発表した。
 この重大な危機を煽っているのが自民党であり、日本会議である。
 安倍を退陣させても、日本会議国会議員懇談会副会長率いる党が連立したなら失望どころか絶望になる。

    食通の雀紫蘇の実食べ尽し

1 件のコメント:

  1.  戦前の、自分の吐いた大言壮語の道ずれに国民を殺してしまった軍部と政治家の歴史をみんなで再確認したいものです。半藤一利さんの本はお勧めです。

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