2017年8月30日水曜日

安倍内閣は信用ならぬ

   右翼の論客西尾幹二が週刊誌や月刊誌で「私は単純に安倍首相の人間性に呆れ、失望しただけです」と、首相を右側から痛烈に批判している。

 「拉致のこの悲劇を徹底的に繰り返し利用してきた政治家は安倍晋三氏だった。(中略)主役がいい格好したいばかりに舞台にあがり、巧言令色、美辞麗句を並べ、俺がやってみせると言い、いいとこ取りをして自己宣伝し、拉致に政権維持の役割の一端を担わせ、しかし実際にはやらないし、やる気もない。政治家の虚言不実行がそれまで燃え上がっていた国民感情に水をかけ、やる気をなくさせ、運動をつぶしてしまった一例である」という指摘などは左右の立場を問わず正論だろうし、「保守系のメディアはまったく安倍批判を載せようとしない。干されるのを恐れているのか、評論家たちもおかしいと分かっていながら批判してこなかった」というのも、貴方が言うか!とは思うがそのとおりだろう。

 そういう中で8月29日に北朝鮮がミサイルを発射し、早朝のテレビは私の知る限りBSも含め総ての局でJアラートの内容をただただ繰り返した。

 そもそも、北朝鮮が、通告なしに日本列島の上空を飛び越えるミサイルを発射したことは極めて危険な行為で暴挙である。
 よって北朝鮮はこれ以上の軍事的な挑発をすべきでない。
 そして国際社会にも、経済制裁の厳格な実施・強化と一体に、対話による解決の道を粘り強く冷静に追求することを期待する。
 いやしくも、拉致問題ではないが感情的に扇動し瀬戸際外交をすべきではない。

 ところで安倍内閣とマスコミの態度はどうだった。
 着弾地点が襟裳岬の東1180kmの排他的経済水域でもないはるか公海上であることを正確に伝えていただろうか。ちなみに沖縄でオスプレイが墜落したのは領土も領土、民家から300m地点だった。
 日本上空を通過というが最高高度550kmでそこは領空(大気圏まで)でもなんでもないという事実はどうだ。飛んだのは宇宙ステーションより高い宇宙空間である。
 首相は「発射直後から完全に把握していた」というが、これは「フクシマ汚染水完全コントロール」ではないが西尾幹二流にいえば虚言だろう。事実、Jアラートは極めて大雑把に長野県から北海道までとコースを特定せずに繰り返し流し、官邸ツイッターに至っては25分間も更新がなかった。何が完全に把握していただ。
 
 今回のように宇宙空間など絶対に迎撃不能の迎撃システムに費消した金額は1兆5800億円、Jアラート92億円、先日来のTVCM(6/23~7/6)4億円。
 金正恩以上に笑っている奴らの声が後ろから聞こえてきそうだ。

 ボケとツッコミではないがトランプアメリカも金正恩を脅してみたりおだててみたり、なかなか役者である。
 それに比べて、大本営発表一色のこの政権はどうだ。
 一色に熱狂する社会は危険である。
 「落ち着け!」 今は、庶民が大きな声でそう叫ぶべきときではないだろうか。

 さて、今般のミサイル発射はほんとうに事前通告がなかったようだ。各新聞社も「平成10年8月のテポドン1号以来のことだ」と報じている。
 だが、はてな、7月28日に発射されたミサイルについての首相官邸のホームページを見てみると、はっきりと「何らかの事前の通報もなく」と書かれている。
 もちろん、国民に対して政府から事前に注意情報は一切なかった。
 ただ、翌日にはNHKが「カメラにとらえた」として放映したから、当時から「政府は知っていたのに、NHKには教えて国民には知らさなかったのではないか」との指摘はあった。
 韓国大統領も公式に情報を事前に「知っていた」と述べたし、韓国から直接、もしくはアメリカ経由で日本政府が知らなかったはずがないという指摘もあった。
 なので、このことで、7月28日のミサイルでは、政府は事前に通報を受けていた(情報を得ていた)のに国民には知らさなかったことが明らかになった。そして、官邸は堂々と「なんの通報もなく」と真っ赤な嘘をついていたことがはっきりした。
 これでもこの首相を信用して、軍備を拡大しようという扇動に乗せられていいのだろうか。
 「落ち着け!」が大事な合い言葉のような気がする。

    外灯の下の骸の秋の虫

7 件のコメント:

  1.  今の日本の状況で、軍備増強反対、軍縮を訴えると「日本は中国や朝鮮やロシアに占領されてしまう」との声にかき消されそうですが、今まで日本は大きな過ちを繰り返して大きな代償を払い敗戦しました。その結果、何百万人何千万人の尊い命を犠牲にして「平和憲法」が生まれました。今こそ「落ち着いて」平和憲法を高く掲げる時だと思います。

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  2.  今朝の朝日新聞トップにもミサイルの飛んだ地図が載っていたが、非常に不正確な印象を与えるものだと思う。他紙もテレビもほぼ同じだが、8月3日の記事に書いたとおり、北海道の広さから見てほぼメルカトル法の地図だと思われる。
     その上に、野球の遠投のような曲線で図示しているから、普通には、旅客機の高さ辺りをミサイルが飛んだような印象を強く与えている。
     実際には人工衛星を打ち上げるように真上に打ち上げ、宇宙ステーションよりも高い宇宙圏で「通過」したわけだから、だから問題ないという気はないが、ものごとを検討する前提は、事実を冷静に事実として確認してから考えなければならないだろう。
     そういう事実を見ずに、大本営の「上空通過だ」という言葉に踊らされてはならないと思う。「落ち着け!」という言葉をメディアに発したい。

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  3.  8月30日の衆議院・安全保障委員会・閉会中審査で民進党の後藤祐一議員は「安倍総理が公邸に泊まったのはミサイル発射のあった前日(25日28日)だけ。公邸に泊まる翌日に、北朝鮮ミサイルが飛んで来る」と指摘し、 西村康稔・内閣官房副長官は否定しなかった。
     これに対して東京新聞の望月記者が31日の記者会見で「前夜に把握していたなら、なぜ、事前に国民に知らせないのか」と質問すると、菅官房長官「答えることを控える」と。
     Jアラートなんかに驚くよりも、「首相が公邸に泊まれば次の日にミサイルが飛ぶ」のでこの国の安全対策は万全だ。

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  4.  NHKの「英雄たちの選択」という番組に「その心の内に分け入ってみよう」という決まり文句があるが、菅官房長官のそれは「Jアラートで不安を焚きつけて内閣支持率を上げたかった」というものだろう。そりゃあ答えられないでしょう。

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  5.  安倍首相は15日前から知っていた。・・・以下は東京新聞記者・望月 衣塑子さんのFBからです。安倍官邸は自らの人気のために国民を犠牲にするのもいとわない面々でしょう。

     Noé Montañez‎ ― 望月 衣塑子

     ミサイル発射の計画は二つの国連機関に通知されていました。二つの機関は、それを各国政府に通知しています。
     30日発:メキシコ市の国連事務所に連絡したところ(元の小生の学生がいる)北朝鮮はミサイル発射について15日前に連絡を行なっているとのこと。国連施設の国際海洋委員会(日本語での名称は不明なので直訳)と国連航空委員会の二機関に規約どおりの連絡義務を果たしているとのことです。また国内の核実験については当面連絡上の国際規約がないようです。

     31日発: 皆様、北朝鮮がミサイル試射の際に「常に」連絡を怠っていない二つの機関の名前がはっきりしました。小生の知り合いが始め「Commitee」といっていたのは間違いでした。海域については: the International Maritime Organization で、通称IMOです。空域については the International Civil Aviation Organization で、通称ICAOです。 北朝鮮はこの二つの機関のメンバーであり、実験行動の詳細を前もって連絡しなければなりません。二つの機関は連絡の詳細を確認したうえで各国政府にその実験内容の詳細を伝え、事故が起こることを未然に防ぐように要望します。まだ、申請書式やこれらの機関の日常活動など幾分詳細を月曜日(メキシコ時間)に得る予定です。また一介の職員ですので、問題なく資料が僕の手に入るかどうかも実験のうちです。

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  6.  先日、古本市で戦時中に内閣情報局が出していた「写真週報」(昭和16年9月3日号=都市防空特集)を購入。見開きいっぱいに「爆弾はさく裂した瞬間しか爆弾ではない。あとはただの火事ではないか。ただの火事を君は消そうともせず逃げ出す手はあるまい(中略)英霊は君の奮闘を待っている」と檄をとばしています。「昭和史のかたち」で保阪氏が指摘されている「ファシズムに至る正方形」が、安倍政権の下で、国民がより小さな正方形に押さえつけられようと感じる現在、今は「国民の安全」を大義名分にして「避難」を呼びかける政府広報ですが、「爆弾」を「ミサイル」に置き換えて敵愾心と国民のつとめを説きかねない危惧を感じざるを得ません。「歴史に学ぶ」ことの大切さを強く訴えたいと思います。今日、「ヒトラーとナチ・ドイツ」を購入しました。

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  7.  ヒトラーとナチ・ドイツの感想などどうかお聞かせください。
     今回のミサイルの政府広報は全く国民を守ろうとするものでなく北の脅威を煽って内閣支持率を高めようという極めて邪な底意のものであります。
     その証拠には、ほんとうに北のミサイルの脅威があり日本国民を守ろうとすれば、イの一番に原発を廃止しなければならないからで、それをせずに危機を煽るのはゲッペルス流のプロパガンダです。
     焼夷弾、防災訓練、国防婦人会で一言述べますと、選挙権もない、つまりは一人前の人間として扱われていなかった女性(主に婦人)が、社会的にいささかなりとも評価される国防婦人会の活動に今までになかった「生きがい」を見つけた・・という評価があるのを本で知りました。
     そのように、社会問題というのは単純に悪人と善人で成り立っているわけではない訳です。そういう観点を大事にして市民が自分の言葉で社会や人生を語ることが大切なように思います。
     T2猫持さん、引き続くコメントをよろしくお願いいたします。

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