テレビをつければ朝から晩まで「軽減税率がああなったこうなった」である。
「軽減」という言葉は広辞苑では「負担や苦痛をへらして軽くすること」であるから、言葉を大事にするジャーナリストなら今般の消費税引き上げには使うべきではなかろう。
身ぐるみ剥いで帰ろうとする強盗に懇願したら明日の食費分だけ引いてくれたので良い強盗さんだったみたいな報道が延々と続いている。
その上に、突如浮上した一般新聞の軽減税率ときた。あまりに露骨な選挙対策ではないか。恥も外聞もないとはこういうことを言うのだろう。
こんな報道にどっぷり浸からされた私たちだから、いま一番大切なことは報道されていない真実に迫る『想像力』ではないかと思う。
例えば9月に成立した戦争法案だが、「自衛隊員のリスクが高まる」という程度の理解で済ますのでなく、その向こうに「安倍首相は自衛隊員の戦死を望んでいる」と想像することの方が大切ではないか。
在日米軍駐留経費いわゆる「思いやり予算」は毎年約1900億円である。ほんとうの土地代などを換算すると、米軍は日本の基地で世界中の基地のある国に比べて二桁三桁違いそうな「利益」を受けている。
その上にオスプレイ17機を約3600億円で購入してくれたりするのである。価格は相場の倍だと言われている。
だとすると、そこまでしてもらってなおアメリカは日本に何が足りないと言っているのか。ズバリ戦死者しかないだろう。「血を流せ」だ。
米軍のイラク侵攻の状況はベトナム戦争末期と同じで、国内で厭戦気分が盛り上がっている。帰還兵の精神障害も高率で発生している。そういうアメリカ自身の閉塞感、行き詰まり感の中でアメリカの右派は「日本はずるい」「ええとこ取りをしている」と言い、それが戦前回帰の安倍・日本会議内閣と、微妙には同床異夢ながら、ある種の波長があっているのだと思う。
だから私は、安倍首相にとっては、その本心は自衛隊員の戦死者が発生してほしいのだと想像する。
来年6月19日施行で選挙権が18歳に引き下げられるが、ベトナム戦争の渦中の1971年にアメリカで当時の徴兵制による戦死のリスクとバーターで21歳から18歳に選挙権が引き下げられたことも歴史の事実である。
歴史に学び為政者らの真意を想像する。それこそが一番大事なことではなかろうか。
孫たちが戦死させられないように。
16日付け朝日14面社説「軽減税率」は予想どおり歯切れが悪い。3面「考/論」の津田大介氏の「新聞各社は・・消費税増税に向けた世論をつくってきた。それなのに、新聞に軽減税率の適用を求めるのはダブルスタンダード・・だ。・・夕刊紙などに・・適用されないのは・・政府にとって都合のいいメディアのみが優遇されることにつながりかねない」の方がよほどスッキリしている。
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