2012年4月13日金曜日

柳上のアリアの主は

   先日から家の周囲で聞き慣れない声がしていたので気になっていたのだが、なかなか美声の主にはご対面できなかった。声の限りでは、ちょっとしたプリマドンナだな・・となんとなく思われた。

 そんななか、隣家の柳の木から例のアリアが聞こえてきたので、バードウォッチングとは似ても似つかぬ真っ赤なウィンドブレーカーとスリッパといういでたちで覗きに行った。
 パッと見たところはカワラヒワのようであったので、「カワラヒワがこんな鳴き方もするのか?」と思ってみたりしたが、「いやいやそんなはずはない。念のため」と考えて家に駆け込んで眼鏡をかけてカメラを持ち出した。
 もちろん望遠レンズに交換した。
 で、撮れたのが掲載の写真。
 写真を見て驚いたが、どう見てもこれはアオジの♂。ガイドブックとにらめっこをしても間違いない。
 本には『チョッピーチョッ、チチクイチリリ等とゆっくりしたテンポでさえずる』とある。そう言われればそうかなあ。この辺の表現は難しい。ただ、プリマの唄うアリアの趣は十分にある。♂でこの表現はおかしいかも?
 『本州中部では標高1,000mぐらいの明るい林、林縁等で繁殖。秋冬には暖地へ移動』と解説されている本もあるから問題ないが、私の感覚からするとカラマツ林の高原のスターに街中で出会ったような感動モノ。

桜前線に乗ってツバメもやってきた
 ただ、桜も咲き季節はいっぺんに春になった。
 4月10日には大仏殿でツバメを初めて見た。
 ということは、このアオジはすぐに山へ帰るということだろう。
 とすると、我が家でアオジに出会える最後のシャッターチャンスを『もの』にできたことになる。
 今度出会えば、しっかりと綺麗なさえずりを記憶しておきたいが、その可能性は桜前線とともに北へと遠ざかっていくようだ。
 振り返ってみると、この冬は十分に寒かったにもかかわらずお目にかかった冬鳥たちが少なかった。学術的な統計ではなく私の生活圏内の印象である。
 この印象が文字どおり『坑道のカナリア』(※3月23日のブログのコメント)でなければよいがと願っている。
 野生の動植物が死に絶えようと人様だけは快適な人工の環境の下で繁栄できると考えるのはある種の神話だと思うのだが。

4 件のコメント:

  1. 豊中在住の「野鳥観察日記」さんの写真で見る限り、カワラヒワではないようです。ほぼ間違いなく「アオジ」ですね。4月28日が最後の撮影とありましたのでそろそろ終わりですね。

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  2. 貴重な写真ありがとう!うらやましいです。大阪では「ヒヨ」(だったと思う)が季節を知らせてくれていましたが。

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  3. !ひげ親父さん !uyumaccuさん コメントありがとうございます。
     相当人工的な街に暮らしていますから、アオジとは初対面でした。
     そして、朗々たるアリアを聞かせていただいたのですから喜んでいます。
     程なくバードウイークです。繁りはじめた木々がプリマの姿を邪魔しますが、夏鳥たちのアリアが楽しみです。

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  4. !uyumaccuさん よかったら水呑地蔵、十三塚についてコメントをお願いします。

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