2011年6月11日土曜日

ハメは怖かった

 元興寺所蔵の中世庶民信仰資料の「蝮除けの願文」には、貴族達の極楽往生のそれとは違って、ヒシヒシと切羽詰った真剣さが覗えた。

 そんな記憶があったものだから、義母の昨夜の外泊の〔恒例民俗学〕の時に「蝮は怖くなかったの?」と聞いてみたところ、「ハメは怖かった」「見つけたらハメやハメや言うて皆で殺した」ということで、いくら山のふもとの農家で、蝮を見慣れているからといっても決して軽んじてはいなかったようである。

 「鍬で頭を押さえるねん」「スーッと皮を剥いで骨にするねん」「木の先に挟んで、その木を軒に刺し込んで干したんや」「河内の方から(漢方薬に)買いに来る人がおったんや」と話は続き、「怖かった」という割には、小遣いにもなった日常作業を淡々とこなしていたという雰囲気だった。

 ともあれ、蝮が・・実際に死ぬかもしれない危険な魔物であったこと、そういう危険と隣り合わせで「農作業に休みはなかった」という義母の子供時代があったこと、そんなことを(義母の)曾孫が知る時のために、こんな些細なことを文字にしておくのも無意味ではないだろう。
 現に私は、皮を剥いだことも小遣いにした経験も最早ない。

3 件のコメント:

  1. 今回のブログを拝見して標題の「絵」を見て驚きました。実は昨日元興寺へ行ったのです。「コレクションⅡ」のパンフレットの絵がそれなので、どっかで見た筈でした。時間がなかったので「ザー」と見ただけでお札の中身まで見ませんでした。次回近いうちにもう一度行って「蛇喰ジュ雛形口伝」「蛇喰ジュ雛形」をとくと拝見させて貰います。
    岡山の隠居所の近くの人たちからも蝮には注意するよう言われていますがそれらしき蛇は未だ見てません。田圃が無いからかしら。猪は蝮や蛇を喰うと聞いたことが有るのですが・・未確認。猛禽類?の鳥が蛇を捕まえているのは見たことがありますが「鳶」だったのでしょうか?これも未確認!未だ未だ分からないことが一杯です。

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  2.  スノウさん 隠居所だより楽しいです。私は「お札」や「まじない」については冷ややかに観察する派ですが、ほどほどには好きでもあります。「神や仏が医学であり科学であった時代」の習俗がいじらしく見えて来る時があります。何時か短いブログを書きたいと思っています。スノウさん ユメユメ「がごぜ」に喰われないようにご注意ください。

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  3. 「がごぜ」の意味が分からなくてウィキペディアで調べました。勉強になりました。有難う御座いました。でも遅かりし・・半分位囓られているかも知れません。なにか「がごぜ」除けの「まじない」はありませんかネ。

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