2011年6月22日水曜日

唄の力 その3

 実母の施設に通ううちに感じたことは、いわゆる認知症ではなく、外傷や脳血管疾患の後遺症と思われる方々が、思いのほか多いということだった。
 障害等級表の第1級の3「・・・著しい障害を残し、常に介護を要するもの」に該当される方も少なくない・・感じがする。
 そういう中では、筆談ながらどうにか意思の疎通が図られる実母の場合は、非常にありがたいものであると、ほんとうにそう思っている。
 私は、そういうワンランク軽い方々と毎日ほんの少しだけ歌を唄っている。
 そして「盆踊りはどんな唄ですか?」と聞いたある時、草津節を唄いだされた方がいて、・・・そうしたら、ちょっとした合唱になったので、「草津節はすごい!」と思っていたら・・・、
 別テーブルの、ある、どう見ても第1級の3のお方が、突然車椅子の上で踊りだされた。
 見たところ、それは炭坑節の振り付けであるが、そんなことは全く関係ない。
 その手の流れは力強くピシっと決まり、凛としたオーラさえ発していた。
 そして、踊ったあと、深々とお辞儀をされたのだ。
 スタッフの方々は「こんなに興奮したら後がどうなるやら」と心配されたが、私は心の底から跳び上がるほど感動した(びっくりした)。
 老朗介護の施設じゃないか。・・・食べさせて、寝かせて、排泄させて、それで全てだとしたら淋しすぎる。・・・だが、スタッフは忙しい。
 そうであれば、・・・あの方の、あの心持に応えてみたいが、・・・残念ながら今の私にはその力がないのが悲しい。

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