2025年11月21日金曜日

世界のリアリズム

    保坂正康氏の本にあったが、2023年1月、アメリカの有名なシンクタンク「戦略国際問題研究所:CSIS」が台湾有事のシミュレーションを公開した。設定は2026年に中国軍が台湾の海軍や空軍を攻撃して台湾を包囲し、数万人の兵隊が上陸するというもの。
 基本的には米軍の支援を受けた台湾軍が中国軍を10日以内に撃退するが、台湾軍は平均で3,500人の犠牲者、米軍は航空機168~372機、艦船7~20隻、空母2隻の損失と死傷者10,000人を出す。
 自衛隊は米軍基地や自衛隊基地が攻撃された場合、平均で航空機122機、艦船26隻の損失を出す。中国軍の死傷者は22,000人に及ぶ。

 この手のシミュレーションはちょっとした数字の入れ替えで大きく答えも変わるだろうから細かな話は置いておいて、保坂氏は、「このように中国もアメリカも「原価計算」すれば戦争を選択しないはずだ」 と書いている。これが、ほんとうのリアリズムだと思う。

 リアリズムでいえば半藤一利氏が「こんな狭い国土で、しかも国境線がやたら長い国土で、真ん中に大山脈が走っていて、平野部は海岸線にしかなく、そこに原子炉が50以上もある。守るにこんな守りづらい国はない。いや、守ることなんてできない。それが現実なんですよ。それこそリアリズムというものなんです」と明解だ。

1 件のコメント:

  1. 半藤一利さんのお名前で一言 半藤さんは生前、中国の諸子百家の中から「墨子」の思想を評価していました。長谷川先生のご高説は如何に!   幸 岳人

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