2024年9月29日日曜日

国民の不断の努力

    朝ドラ『虎に翼』が終了した。
 
 「女は無能力者」とされていた時代から、新憲法ができたものの実態が追いつかない、さらには反動的な主張の揺り戻しもある中でドラマは最終回を迎えたが、その基調は、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」(憲法第12条)を度々思い起こさせるものだった。

 カフェ、後の弁護士事務所の壁には墨痕鮮やかに、憲法第14条「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」が掲げられていたが、それらもまた、第12条の「不断の努力」によって支えられるものであり、「国民の不断の努力」がなければ立派な法律も画餅に帰すのである。

 最終回のちょっとした場面だが、娘の優美が橋の上で絶望状態の女性に「労働基準法(第20条解雇予告義務)がある」と教えるシーンも「憲法14条から始まって労働基準法で終わるのですか」と少しだけ驚いた。
 形式的には「平等」に見えたりするが、非正規雇用が例外でもなんでもなくなり、非正規雇用に占める女性の割合が多く、それでも「性別の差別はない」とするこの社会の現実とドラマの最終回を見て、「だから社会は何も変わっちゃいない」としたり顔で評論するのはたやすいが、そこには憲法第12条が欠落している。

 全くの個人的な妄想だが、もし安倍内閣が継続していたとしたら、このドラマには大きな風圧がなかっただろうか。
 「国民の不断の努力」を示す機会(総選挙)は目前に迫っている。

2 件のコメント:

  1. 大切ないいドラマでした。
    司法の独立、当たり前だけど歪められている、まさに今求められています。

    返信削除
  2. 作品の元(ヒント)となっている史実について「突っ込みが浅い」等の批判もあるようですが、私はドラマとしていろいろよく触れたと感じています。
    コメントありがとうございました。

    返信削除