台風で外へ出る気にもなれず、といってニュースはどこも同じで(被災地には申し訳ないが)観る気も失せ、ただただ気が沈んでいるが、清少納言はナントこんな日も、「野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ」(枕草子)と書いているから、いやはや「おそれいりました」と小さくなるしかない。
ついでに同じ本の〈虫〉を読むと、ミノムシについて「蓑虫はとても哀れである。鬼が生んだということで、その鬼が「親に似てこれも恐ろしい心があるだろう」と思い、親がみすぼらしい衣を着せて「まもなく秋風が吹いたら来よう。待ってなさい」と言い置いて逃げて行ってしまったのも知らずに、風の音を聞き分けて、八月ごろになると〈ちちよ、ちちよ〉とはかなそうに鳴く声は、とても哀れに聞こえる(大伴茫人訳)」。というのにもまいってしまう。
ちなみに〈虫は、鈴虫、ひぐらし・・・〉の〈鈴虫〉は現代の松虫のことらしい。もちろんリーンリーンとうるさいようなアオマツムシではない。
早朝散歩に出ると直ぐ近くの草むらでチンチロリンと鳴いている。秋の虫は多いが、私は一番の美声だと思っている。
こんな美声を博奕の名前に援用するのは許せない。
若い頃、阪堺電車をよく利用していたが、その阪堺電車には天王寺を出て阿倍野の次に「松虫」という駅がある。能の『松虫』の舞台とされている。ここの〈松虫〉は〈鈴虫〉のことだとややこしいが、細かい話は飛ばしてマツムシの声を探してほしい。
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