2021年6月29日火曜日

シルクロードの終着駅で

   シルクロードというと直ぐに東大寺ミュージアムの伎楽面を連想する。『シルクロード世界史』の森安孝夫氏に言わせると、稲作と発酵食品と漢字を除く文化、・・青銅器も鉄器も車輪も、あるいは馬も粉食も仏教も、中央ユーラシアを外して日本の文化を語ることはできない。

 そんなもので、写真のような本が目に留まるとどうしても買ってしまう。そして、アジア大陸の孤島、辺境からは想像がつかない規模で民族が攻防し、長駆し、入れ替わり積み重なった歴史の分厚さに頭がくらくらする。

 ただ辺境には文化が素通りせずに堆積するようで、伎楽面もその典型だろう。以前に引用した、ソグド語の辞典も中国では散逸してしまっているのが日本にあった り、マニ教の絵画が日本にあったりする。

 現代の多くの日本人がイメージするこの国の原風景は『室町だ』というのは司馬遼太郎氏の口癖だったというが、その前の奈良に係る枕詞が「青丹よし」であったように、その頃のこの国の先進文化はシルクロード直結のケバケバしいものであった。

 現在の奈良の古刹にそれは無縁のように見えながら、よく見るとその欠片があちこちに残っているのが面白い。有名な当麻曼荼羅では、阿弥陀の前で新体操のリボン競技のように「胡旋舞」を踊っているのはソグド人の若い女性である。この頃私はユーラシア大陸に憑かれている。

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