2021年6月4日金曜日

契約書面の電子化は怖い

   民放テレビからは当然ながら各種のCMや通販情報?が流れてくる。巣ごもりのため昼間にテレビを見ていると、明らかにターゲットは高齢者に向いている。健康、美容そして保険などなど。もちろんその効能は魔法のような、まるでノーベル賞もののようだが、画面の下に小さく「個人の感想です」と書かれている。中には一通りの宣伝の後画面いっぱいに文字が映し出されるが、きっと、トラブった際の言い訳のような画面なのだろう。だいたい直ぐに消えるから全文は読めない。こういうのをアリバイあるいは脱法行為という。

   テレビに限らずネット社会も同様だ。新しいアプリをインストールする場合など「同意する」をポチッとするのだが、私などは普通のアプリではその文章をしっかり読んだりはしない。(よくないことは分っているが)
 少し前の話だが、クレジット会社から覚えのない引き落しの通知があった。苦労して辿っていくと「アマゾンプレミアムの会費」だった。それは、以前の購入の際「無料で即日発送」というのをポチッとしたことによる。後でわかったが、その際、ダラダラと長い説明書きの最後の方に小さな字で、「意思表示がなければプレミアム会員になる」と書いてあった。この件は”加入しない”手続きをして費用を全額取り戻したが、いい勉強になった。

   さて国会では、特定商取引法等改定案が審議されているが、全体としては消費者保護のためのものであったが、首相が「行政のデジタル化」を打ち出したのに悪乗りして、井上信治消費者担当相が、急遽改定案に契約書面の電子化を入れ込んで、せっかくのいい改正案に泥を塗ってしまっている。
 多数の高齢者が被害にあったジャパンライフ事件では家族が紙の契約書で被害に気付くなど被害を食い止めたが、これが電子化でOKとなると、当の高齢者も家族もみんな気づかない闇の中に消えてしまう。

 菅義偉首相や麻生太郎副総理は、共産党大門議員の指摘を受け、政省令で歯止めをかけるよう指示しているが、大門議員は、政省令では被害の拡大を確実に防げる保証はないとして、「そんな小細工を弄(ろう)するより、書面電子化の部分をキッパリ法案から削除すべきだ」と迫っている。

   ほんとうにこの政権は、無能な上に質が悪い。「騙される奴が悪い」などと言うなかれ。「普通の庶民は騙されるものだ」という現実の上に被害者を生まない施策が政治であろう。

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